開かない、じゃなくて開けない。
開きたいけれど怖くて開けないとか、
開けない事情があるからそのままにしている。
例えば相手が仕事の上司とか同僚ならシフトの事かな? とか、リアルでも会ってる友達とかなら遊びの誘いかな?とか内容も想像つくけど、そうじゃない相手だと意外と開くのが怖い。
特に怖いのが家族や親類。
顔を合わせたり、電話の方が伝わり安いのに敢えてLINEで、というのが怖い。
深刻な話だったらどうしようとか、色々考えてしまう。
だから、やめちゃった。
END
「開けないLINE」
何をもって「完全」と言うのか。
そもそも完全という言葉を作った人間自体が不完全なのだから、〝完全な人間〟とは何かと言う事を定義しないとこの話は堂々巡りになると思う。
思慮深い、頭がいい、造形がいい、体力がある、スポーツ万能、歌が上手い、絵が上手い、人当たりがいい·····他にも人の美点と言われる点は色々あるけど、それも別の視点、別の価値観から見たら反転したりする。
まずは〝完全な人間〟を定義して頂かないと、私はそれに反論する術を持ちません。
良かった、君がそう言ってくれて。
? 意味が分かりません。
それこそが、〝完全な人間なんていない〟証明になるんだよ。
END
「不完全な僕」
自分に馴染みがなさすぎて、あの歌しか浮かばなかった(笑)。
END
「香水」
リアルで欲しいのは、何気ない挨拶とお互いを労う言葉。
誰と誰が結婚したとか、誰の子供が進学したとか、何とか言うアイドルが好きでとか、そういう言葉は全部耳と頭をただ通り抜けていく。
それは『〇〇所属の××という仕事をしている私』に対しての言葉じゃなくて、相手がただ一方的にまくし立てて話したいだけにしか見えないから。
そんな言葉はいらない。
リアルでいらない言葉の数々は、ネットで欲しい言葉の数々でもある。
好きな作家の話、好きなゲームの話。そういう言葉なら一字一句逃さず頭に刻もうと思う。
それは『〇〇というゲームが好きな私』を相手が知っているからだ。相手の言葉に返す言葉を私がしっかり持ってるからだ。
リアルとネットの違いは多分、「今ここにいるのはどんな自分か」という認識の違いだろう。
ネットの方が心地いいのは、言葉が通じて、視点が近い人とだけ繋がっていられるからだ。
言葉はいらない、ただ私という人間を見て欲しい。
リアルで私に関係ない話をする人達も、自分という人間を知って欲しいという気持ちがあるのだろうか?
END
「言葉はいらない、ただ·····」
突然の君の訪問。
外に出られない私は君の青い羽根と小さな歌で世界が変化していくものだということを知った。
窓辺で小さく首を傾げ、可愛らしい声で歌う君の姿。
鉄格子越しに見た君の姿に、私はどれだけ癒されたか。小さなパン屑くらいでしか感謝の言葉を告げられなかった私を許して欲しい。
君の訪問は鉄格子が冷たくなって来た頃、不意に終わりを告げたね。その頃にはもう、私は薄々気付いていた。世界が変わり続けるように、君の居場所もこの小さな窓辺ではなくなり、私の居場所もまたこの狭い部屋ではなくなる日が近いのだろう。
その日は少しずつ近付いてくる。
一歩ずつ、ひたひたと。
私は外で生きてはいけないそうだ。何が悪いのか分からないけれど、私は「悪いもの」らしい。
生まれた時からそう言われて、ずっとここで生きていたけれど、最近私に食事を運んでくれていた人が言っていた言葉でそれを確信した。
「そろそろ始末しないと手に負えなくなる」と。
――私は処刑されるのだろう。
それは私にとって、居場所が変わるだけのことだ。
どうやって殺されるのか分からないけれど、苦しみがなるべく少ないならいい。
あぁ、でも。
最期に君に、会いたかったな。
◆◆◆
「時間です。出て下さい」
それは初めて聞く声だった。
「·····」
金色の髪。青い瞳。あの羽根と同じ色をした、青い外套。
「本日午後〇〇時、貴方の刑を執行します」
春の風のような甘い声。
「·····」
「あぁ、その目が〝魔性〟と呼ばれる由縁ですね。ご心配なく、私には効きませんので。さぁ立って。身なりを整えましょう」
「·····あれは」
「はい?」
――あれは君だったんだね。
狭い部屋の片隅に、色褪せた青い羽根が一枚落ちていた。
END
「突然の君の訪問。」