せつか

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7/6/2024, 3:11:08 PM

うーん、あんまりないなぁ。
友だちがいなかったわけじゃないけど、なんとなく本当に辛い時とか苦しい時に、そばにいてくれたのは友だじゃなくてお母さんだった気がする。
少なくとも中学まではそうだった。
高校で、中学までの交友関係がふっつり切れて、新しい友だちが出来た。
そこからは結構色々憶えている。
いいことも、悪いことも。
楽しかったのは文化祭の時に図書館の奥で隠れてケーキを食べたこと。キツかったのは·····、こっちはまぁいいや。
でも、高校の時の友だちとの思い出が、今の私を形作っていると思う。

何でって?
その子は今も私の大切な人だから。


END



「友だちの思い出」

7/6/2024, 12:27:12 AM

勝手に関係あるとか繋がってるとか言われても困る。
私と隣の子がどれだけ離れていると思ってるんだ。
あなた達だってそうでしょう。山を一つ越えた家を「お隣さん」とは言わないでしょう。
私達は山一つどころじゃないんだけれど。
そもそも隣のあの子とは、互いに姿は見えていても近付けないし、あの子が本当はどんな姿かなんて知りようもない。
でも私達は「星座」という一括りの仲間にされてる。
あなた達の目に、一つの生き物として、一つの物語の構成要素として見えているのだろう。
それはとても不思議な感覚。
触れ合えないほど遠くにあるのに、あなた達の歴史より遥かに長い時の隔たりがあるのに、あの子と私は一つのものを形作っている。

困るというのは迷惑だという意味じゃなくて、どう反応したらいいか分からないから。

あなた達が私達を見上げるたび、物語を見出して、喜んだり悲しんだり。
それがなんだか、面映ゆい。
私はあなた達を見下ろしながら、一瞬の生を懸命に生きる弱くて脆いあなた達に、永遠を見る。

END


「星空」

7/4/2024, 11:20:19 AM

1000年後の地球に人類はまだいるのだろうか?
そもそも地球はまだあるのだろうか?
1000年後も世界がまだ続いているとして、人類がまだ生きているとして、それはどんな姿だろう?
地球はどんな星になっているのだろう?

それこそ神様だけが知っている、人類全体の命運なんだろうと思う。
人類が滅びる神話はあちこちにあるけれど、そのあと世界がどうなってるかの描写はあまり無いもんな。

神様、そろそろ教えてくれませんかー?


END


「神様だけが知っている」

7/3/2024, 2:36:39 PM

まっすぐ進めば右手に美容院。その向かいに小さなお地蔵様があって、一本角を曲がれば古い駄菓子屋がある。その道をまっすぐ歩いてしばらくすると二階建てのアパートがあって、その二階の角っこにある部屋が友達の家だった。

たしか、夏休み直前のことだったと思う。
その友達に会いに行った。
いつもの道、いつものお地蔵様。駄菓子屋はもう何年も行ってない。そこを素通りしてしばらくするとアパートが見えてきた。何の変哲もない、いつもの道。

アパートの階段を上がれば、友達が待っている。
今日は何をして遊ぼうか。着せ替え人形はもう飽きた。図書館であの子が借りた本はなんだっけ。
いつもの道。この階段を上がった先の、塗装が剥げたドア。

「·····あれ?」
鍵が閉まっていた。
表札を見る。名前が無い。
「〇〇ちゃーん」
ノックしても返事は無い。ノブを回してもドアは開かず、ちらりと見上げた小窓は何年も開いてないようだった。

ゾッとした。

飛び降りるように階段を駆け下りて、家に帰る。
「〇〇ちゃんがいなくなっちゃった!」
泣きそうな声で告げる。
「――誰?」
母のその言葉に、更にゾッとした。
それ以上何か聞いたらいけない気がして、私は部屋にこもると借りてきた本を読み出した。何が書かれていたのか、さっぱり覚えていない。

◆◆◆

あれから二十二年。
あの出来事は何だったのか、時々思い出す。
いつもの道、いつもの景色。
なのに友達の姿だけが初めからいなかったかのように消えていた。
あの道はまだある。美容院も、お地蔵様も。
駄菓子屋はもう潰れてしまったけれど、この道を進めばあのアパートがある。
けれどあれ以来、私はあの角を曲がることが出来ずにいる。


END


「この道の先に」

7/2/2024, 3:03:55 PM

子供の頃は、日焼け対策なんて考えた事もなかった。
真っ黒に焼けた友達の、その薄い皮膚をぺりぺり捲るのが楽しかった。

でも今は、真夏の太陽には殺意さえ感じる。
何の対策も無しに日差しを浴びると、頭も、腕も、炙られているような、刺されているような痛みを感じる。

あー·····冬が恋しい。

END


「日差し」

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