せつか

Open App
6/28/2024, 3:13:13 PM

夏は嫌い。
半袖にならなければいけない夏が、みんなと一緒に水着に着替えなければならないプールの授業のある夏が、大嫌いだった。

半袖になることに抵抗が無くなったのは、自分で子供の残酷さに対処する術を得てからだ。
それでも子供の頃の夏の記憶のせいで、極度に「人からどう見られるか」が気になる大人になった。
うっかり服にジュースでも零そうものなら、その日一日憂鬱になった。そこばかり気にして、通りすがりの人がそれを目にして笑うのでは、とか、そんなことばかり気になった。

夏は嫌い。
でもそんな昔のことをいつまでも引きずってる自分 は、もっと嫌い。


END

「夏」

6/27/2024, 2:50:58 PM

ここではないどこかへ行っても、いつか帰ってくるでしょう。
慣れ親しんだ部屋のベッド。あるべきところにあるべきものがある安心感。いつでも好きなように取捨選択出来る万能感。それらは決して手放せないものだから。
どんなに煌びやかな街よりも、どれだけ広々とした部屋よりも、雑然として少し使い古した、自分のものがある空間の方がどれだけ尊いか、あなたは知っているはずだから。

だからいくらでも旅をして、遊んで、そしてかえっていらっしゃい。


END



「ここではないどこか」

6/26/2024, 2:50:26 PM

いつだったかな。
コロナが広まる前だった気がする。
年に一回、東京に遊びに行った帰り、駅の地下にあるレストラン街のどこかの店。

苺がこれでもかってくらい載ったのとか、
メロンとかマンゴーとか葡萄とか、季節のフルーツが載ったのとか、
チョコレートとバナナと生クリームが載ったのとか。
帰りの新幹線に乗る前、名残を惜しむようにその店で一人でゆっくりパフェを食べるのが好きだった。

コロナが蔓延する前だから、もう五年以上前になる。
あの店はまだあるのだろうか。
山盛り苺のパフェ。
また君に会いたい。


END



「君と最後に会った日」

6/25/2024, 3:42:11 PM

植物の生態を知ると、その複雑さに目を瞠る。
他の生物に擬態したり、他の生物を捕食したり、色や匂いで誘ったり、何年も水が無くても平気だったり。
繊細というか、複雑というか、緻密というか。
とにかくその機能の不思議さと神秘は、人間なんかの想像の及ばない領域なのだと思い知らされる。

綺麗な花はでも、人間の目を楽しませる為にそんな姿をしているわけではない。品種改良した園芸用の花はともかく、自然にあるものは生きる為の進化の過程でそんな形をしている。

取り繕うとか、媚びるとか、そういうのが無い生き方というのがそもそも繊細で美しいのだろう。


END


「繊細な花」

6/24/2024, 11:02:16 AM

1年後も今と同じように本を読んで、今と同じ推しを応援し続けられたらいい。
本が読めなくなったり、推しを応援出来ないような環境になったら荒んでしまう気がする。

ささやかな、それでも私にとっては大切なひと時なのだから。


END


「1年後」

Next