些細なことでも
枕を涙で濡らして起きた朝
おはようを言ったときに
何かあったの?と聞いてくれる。
些細なことでも気づいてくれた
その優しさに
止まったはずの涙がまた溢れ出す。
悲しみの涙でなく
嬉しさの涙が。
心の灯火
ふと、自分が真っ暗な闇の中にいて、ひとりぼっちで、
寂しくて、不安で、生きているのがつらいと思う時がある。
そんな時に、ぽっと灯火のように、小さいけど暖かいやわらかなあなたの笑顔が、私の心に蘇る。
まるで、真っ暗な闇を照らして晴らすように。
あなたの笑顔が心の灯火としてあるから、私は大丈夫。
開けないLINE
彼と別れてから毎日LINEが1つ送られてくる。
1つだけならまだいいかと思ったのに、ずっと待っても諦めずに送ってくるものだから、見たくなかったけどLINEを開いた。
ーやっぱり、開けるんじゃなかった。
あなたへの想いが、まだこんなに残っていて、あなたのメッセージを見るたびに胸が苦しくなるんだもの。
不完全な僕
ゴミステーションの焼却炉。そちらに僕は向かっています。遠くからでも、真っ黒な煙がよく見えます。
研究室で僕は製造されました。僕を製造した博士は僕にいろいろなことを教え、実験し、僕の変化を観察しました。他にも僕と同じく製造された仲間達と過ごすのは楽しく、博士に教わることは喜びを感じました。
「不良品だ」
しばらくして、僕だけが博士に呼び出され告げられました。どうやら僕だけが不要なはずの"感情"というものを持っているのだそうです。博士は僕に不良品はゴミステーションの焼却炉に行くのだと言いました。
「博士、人間にも感情はあるのでしょう。なぜ僕が持っていてはいけないのですか?」
「完璧なアンドロイドを作りたかったんだ。人間にも欠点があってね、それが感情だよ。君は人間に近い不完全なアンドロイドになったようだな」
そうして僕は輸送車に乗せられ、現在に至ります。
ーーー
僕は輸送途中、暴れ出し輸送車を破壊して逃げました。
不完全ながらもアンドロイドなので、簡単に脱出することができました。
僕はアンドロイドとしては不良品かもしれません。
しかし、人間としては生きていけるかもしれません。
不完全な僕のまま、人間として生きようと思います。
香水
開け放たれた窓から風が吹き込む。
どこからかふわりと香る、君の香水の残り香。
君自身はこの部屋にいないのに、まるでいるように錯覚させる香り。
蘇る記憶。感情。季節。容姿。温度。声。
あまりにも突然の別れ。すぐに理解できなくて。
君の幻に声をかけそうになって、幻聴に応えようとして。
あぁ、君がいなくなったことなんて嘘なんじゃないか?
こんなにも、君の存在が僕の心に染みついているから。
君のことだから、僕のことを驚かそうとして、隠れているんじゃないか?だったら、もう出てきてくれよ。
「もういーかい?」
僕以外、誰もいない部屋でつぶやく。
まだ香る君の香水の部屋の中。
前回の君と最後に会った日の続編です。(みけねこ)