みけねこ

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6/30/2023, 12:53:55 PM

赤い糸
ー人ってさ、みーんな何かしらの縁で繋がっていると思わない?
突然の質問に、僕の頭上に?が浮かぶ。
「どういうこと?」
と聞き返せば、君は、今日あったことなんだけどと前置きして話し始めた。
「私が本好きなのは知っているでしょ?最近、友達からある本を紹介してもらって、今はそれにハマっていたんだけど、その作家さんが今度この街に来て取材しますってファンの皆さんに伝えたの。私はへーって思ってたんだけど、偶然!作家さんの取材中の姿を見れちゃったの!うわー、縁繋がっているなーって思ったから」
ー確かに、友達から本から作家さんヘと繋がっている。
「じゃあ、僕達の赤い糸も繋がっているよね!」
君はびっくりした後、少し照れて、小指をピンと立ててみせた。見えない赤い糸が僕らの間を繋ぐ。
縁と運命の赤い糸、どちらも人と人を繋げていく。

6/29/2023, 12:02:05 PM

入道雲
遠くの空に入道雲が見える。
「入道雲だ!」
君が嬉しそうに指を指す。
普段、忙しくて空なんか見上げる暇などないのだけど、
君のおかげで、久しぶりに空を見上げられた。
「夏って感じだね」
「ねぇ、あなたはあれが何に見える?僕には綿飴に見えるよ!」
君らしい質問にそうだなぁと答えながら、
「・・・かき氷のシロップをかける前みたい」
と我ながら面白味のない考えを伝える。君は、
「かき氷!見える、見える!青空だからソーダ味だ!」
と無邪気に返してくれた。
帰ったらかき氷を作ろうと約束して、帰り道を急ぐ。

6/28/2023, 10:53:45 AM


「あっぢぃぃ〜・・・」
見上げれば、どこまでも青い空。ギラギラ輝く太陽。
拭いても拭いても流れてくる汗を拭う。少しヒリヒリするのは、日焼けしたんだろう。
「休憩しよう・・・日陰はー」
こいでいた自転車を止め、あたりを見回す。
今は昼時。太陽は真上にあり、日陰はあっても小さかった。運が良いことに、木が密集している場所にそれなりの日陰があり、ありがたく使わせてもらうことにした。
背負っていたカバンから、水筒を取り出す。
出かける前に、できるだけ氷を入れておいたけど、もう既に生ぬるくなってしまった麦茶を飲む。
「ぷっはー!!うまい!!!!」
喉がカラカラだったので、麦茶が美味しく感じられた。
枝越しに空を見上げる。遠くに入道雲が見える。
「夏だなぁ〜」
帰ったらアイス食べようと決めて、自転車に乗った。

6/27/2023, 12:30:07 PM

ここではないどこか
ー遠くへ行きたい。
何気なく、窓の外を眺めていたら、ふっとそんな希望が浮かんだ。
どこか遠く、私のことを誰も知らない、ここではないどこかヘ行きたい。
・・・どうして、こんな希望が浮かんだんだろう?
さっきまでの考えから、現実に引き戻される。
途端、私の周りで雑音が大きくなって聞こえた。
普段、特別気にもかけないその音が、ひどく耳ざわりだった。笑い声、歓声、何かを動かす音、走っている足音。
そのどれもが、私に突き刺さる。

あぁ、ここは息がしづらい。感じているのは私だけかもしれないけれど。
きっと私は、ここから逃げ出したくてたまらないんだ。

6/26/2023, 11:36:21 AM

君と最後に会った日
ーまさかあの日が君と最後に会った日になるなんて思っていなかった。

君の笑った顔。君の声。君の好きなもの。君の好きな場所。君と食べたもの。君と話したこと。・・・
何をしても君を思い出す。でもそこに君はいない。

あまりにも突然の別れ。すぐに理解できなくて。
君の幻に声をかけそうになって、幻聴に応えようとして。

あぁ、君がいなくなったことなんて嘘なんじゃないか?
こんなにも、君の存在が僕の心に染みついているから。

君のことだから、僕のことを驚かそうとして、隠れているんじゃないか?だったら、もう出てきてくれよ。
「もういーかい?」
僕以外、誰もいない部屋でつぶやく。

君と最後に会った日に見た、君の中で一番綺麗な笑顔が忘れられない。

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