ソンヘ

Open App
4/28/2024, 10:08:08 AM

刹那


刹那は一瞬であり、
その一瞬の中に、
喜びも、哀しみも、痛みも、愛情も、美しさも、
この世界に存在する、有形無形、ありとあらゆるものが、その中に宿る。

とかく人は、
常に永遠を求め、答えを探ろうとする。

束の間の一瞬の中に見た世界、
抱いた感情こそが、
もしかしたら永遠なのかも知れない。


ソンへ

10/11/2023, 10:12:37 AM

カーテン


カーテンが風に揺れる姿が好きだ。

こちらと、
こちらから見た向こう側との、

その境目にあるものを、
その狭間にある記憶の一つ一つを、
フワリと丁寧に紡いで届けてくれるようで。

フワリとなびいた時の、
さらわれてゆく空気の優しさ動きも。


ソンへ

10/1/2023, 1:12:09 PM

たそがれ


黄昏の頃合いになると、
空がオレンジ色に染まり、
淡いラベンダーや薄紫に染まり、
美しい色の絵が描かれ、宵闇に染まってゆく。

幾つもの美しく優しい色に染まった空は、
少しずつ溶けて、
人の心の中にそっと沁みこむ。

優しくて、
切なくて、

世界の中で、
自分だけが取り残されたような切なさと、

それは同時に、
この世界に、たった一人しかいない自分という存在へ向けて、空がそっと頬を撫でてくれるような、
そんな真綿のような優しさを運んでくれる。

黄昏に染まる時間は、
空から私達へのプレゼントなのだと、思う。

世界中の人が、
黄昏の頃合いに、
染まりゆく空を同時に眺めているとき、

きっとその瞬間だけは、
憎しみも、争いも、嫉妬も、偏見も、
人の心の中に巣食うあらゆる醜さも、傲慢も、
きっと溶けてなくなっている。

その優しさを胸に抱く瞬間、
私も、世界も、かけがえのない存在だと気付く。


ソンへ

9/24/2023, 12:54:06 AM

ジャングルジム


子供の頃、遊び場にある数ある遊具の中で、
ジャングルジムが一番好きだった。

ジャングルジムという存在が、
そこにあること、
空間に存在している事への言いようのないドキドキ感。

「ジャングルジム」という言葉の、
冒険心を強く刺激する、その響き、
あの幾何学デザインの不思議なダイナミックさ、
空間の中に悠然と存在する姿…

ジャングルジムは、
子供の私の中でとても美しい存在だった。

そして、
実際に遊ぶ楽しさが好きよりも、
その姿を見ている方が好きだったのだと思う。


今、
ジャングルジムのてっぺんに登って、
暮れてゆく夕暮れの空を眺めたい。


ソンへ

9/18/2023, 2:08:07 AM

花畑


朝靄の立ち込める、恐ろしいほどに澄んだ空気と、静まりかえった空気の中、聞こえてくるのは、時折響く、虚空を切り裂くような高らかで鋭い鳥の鳴き声と、深淵を覗きこむような清らかな水の音。草花達はまだ寝息を立て、全てがまだ眠りについている。あらゆる邪気の一切を削ぎ落としたような青と、ダイヤモンドの原石のような緑と、乳白色の白を溶かして流したような夜明けの色。その透明な美しい水晶のような森を抜けると、色鮮やかな花畑が果てしなく広がっている。ある日、そんな場所に偶然迷い込み、訪れる事などできはしないなどとは、そんな場所がありはしないなどとは、どうして言えるだろうか。そんな、静謐であらゆる美しさを手のひらで掬い集めたような場所へ、偶然迷い込んでしまいたい。


ソンへ

Next