たそがれ
黄昏の頃合いになると、
空がオレンジ色に染まり、
淡いラベンダーや薄紫に染まり、
美しい色の絵が描かれ、宵闇に染まってゆく。
幾つもの美しく優しい色に染まった空は、
少しずつ溶けて、
人の心の中にそっと沁みこむ。
優しくて、
切なくて、
世界の中で、
自分だけが取り残されたような切なさと、
それは同時に、
この世界に、たった一人しかいない自分という存在へ向けて、空がそっと頬を撫でてくれるような、
そんな真綿のような優しさを運んでくれる。
黄昏に染まる時間は、
空から私達へのプレゼントなのだと、思う。
世界中の人が、
黄昏の頃合いに、
染まりゆく空を同時に眺めているとき、
きっとその瞬間だけは、
憎しみも、争いも、嫉妬も、偏見も、
人の心の中に巣食うあらゆる醜さも、傲慢も、
きっと溶けてなくなっている。
その優しさを胸に抱く瞬間、
私も、世界も、かけがえのない存在だと気付く。
ソンへ
10/1/2023, 1:12:09 PM