ソンヘ

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花畑


朝靄の立ち込める、恐ろしいほどに澄んだ空気と、静まりかえった空気の中、聞こえてくるのは、時折響く、虚空を切り裂くような高らかで鋭い鳥の鳴き声と、深淵を覗きこむような清らかな水の音。草花達はまだ寝息を立て、全てがまだ眠りについている。あらゆる邪気の一切を削ぎ落としたような青と、ダイヤモンドの原石のような緑と、乳白色の白を溶かして流したような夜明けの色。その透明な美しい水晶のような森を抜けると、色鮮やかな花畑が果てしなく広がっている。ある日、そんな場所に偶然迷い込み、訪れる事などできはしないなどとは、そんな場所がありはしないなどとは、どうして言えるだろうか。そんな、静謐であらゆる美しさを手のひらで掬い集めたような場所へ、偶然迷い込んでしまいたい。


ソンへ

9/18/2023, 2:08:07 AM