NoName

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1/10/2026, 10:52:08 AM

あのとき私は20歳だった。

故郷を去ると告げた、ある男を、駅で見送った。
閑散とした駅のホーム。
冬の終わりはまだ遠く、粉雪をはらんだ曇天を、ふたりで見上げた。

男は細い指でリュックを持った。その指は青白く、不安そうな印象だった。
私はなにかありきたりなことを言おうとして、飲み込んだ。

「もう振り向かないから」
ふいに男が言った。

私はそこでやっと、この人はほんとうにここを去るのだと、知った。

電車の到着を知らせるアナウンスが響いた。
私たちは唇を重ねた…。
一瞬のぬくもりが全ての終わりになった。
男は私から離れ、電車に乗った。
お互いに目を逸らした。
未練なんか持っちゃいけない、別れとはこういうことなんだ。

やがて電車が去り、駅のホームは、再び静かになった。
私は立ち止まった。うつむいて自分のつま先を見つめた。

これから過ごすのは、彼の居ない土地、彼の居ない時間、それらが途方もない大事のように思えて、不安になって泣いた。

夕暮れがせまる時間になり、やっと家路につくことにした。
私は重くなった足をなんとか歩ませ、夫の待つ家に、帰った。

あのとき、お互い20歳だった。モラルを失った恋は、すぐに終わってしまった。
でも私の内側に、淡いともしびのような感情が、長い長い時間…消えることはなかった。

1/7/2026, 11:09:54 AM

はらはら舞う雪。
あれは障子の向こうに見た景色。
白い雪に覆われた、庭の木々。
誰の足跡もない、美しい地面。
寒かった朝。
清らかな空気が冷たく上昇し、私の頬をきりりと引っ張った。

1/6/2026, 10:23:50 AM

君と一緒に、空を飛べたらいいな。
雲を突き抜け、成層圏を超えて、宇宙に出たら、太陽の近くをぐるりとまわる。
水星と伴走、金星にあいさつして、地球に戻る。

あるいは、君と一緒に、海に潜って、下から波を眺めるのはどうだろう。
海底の泡を踏みつけて、深海魚とダンスをしたい。

どこまでも一緒にいたいね。
手を繋いで、いつまでも、いつまでも…。

ぼくはそう考えながら、校庭で立ち止まる君を見ていた。

片想いがこんなに苦しいなんて!
君に会うまで知らなかったよ!

1/5/2026, 1:04:34 PM

冬晴れの空の下、子供たちが走る。
かつての私のように。