無い物強請り、ないものねだり。普段使わない言葉なので、またもや調べてみた。だいたい言葉どおりらしいが、使われる文脈あたりで引っかかりを感じる。意味自体は「自分に無いものを欲しがること」とあるが、用法例文を読んだり記憶を手繰ってみると、ちょっと「焦点がズレて」いるように見える。
「無い物強請り」だと定義されるらしいとき、何れにも共通しているところがあるのだ。どの「ないものねだり」も自分の「外」に求めている。求めるものの多くが自分に無いと決めつけているからかもしれない。本当に、絶対的に、真実、自分に無いことを確かめたのだろうか。
それに、「自分そのもの」ではなく、自分の「環境条件」や、自分に纏わる「形」に、自分の求めるものを与えてくれる「神とか幸運みたいなもの」ありきで欲しがっている例文ばかりだ。しかも、本当に自分が求めているものの本質についてはものすごく曖昧で、当然、的(求める本質)を射抜く集中が無く、ただ嘆息するに終始している。
意味用法の例文を見ただけだが、ないものねだりと覚しき溜息が出るとき、ついでに「どうしてそうだったら良いのにって思うんだろう?」と考えて見るのは、きっと求めるものの本質にたどり着くための新しい間口を見つける糸口になる。ねがいの本質は大抵、シンプルなものだ。
溜息ついてないで、幸せな気分にならなくちゃ。
好きじゃないはずなのに、下の子どもはホラーゲーム実況を見る。楽しいのだろうか。でもひとりじゃ怖くて嫌だと言う。
自分はどうだろうかと考えた。ホラー…?
最初のバイオハザードは遊んだ。一度クリアして、弾数制限無しのロケットランチャーを入手したらイキイキし始めるクチだ。鬼武者はまとめて斬るのがスカッとした。若かったなぁ。でもそのカテゴリが好きかと言うと、そうでもない。あ、そうか、アクションだからやれたのかな。でも今はアクション要素のあるゲームはもうダメだ。コントロールを覚える前に疲れるか、時間がなくなる。
どうやら私は「自分がプレイする」のが楽しかったらしい。じゃあ、何故子どもは「ホラゲ実況」を見るんだろう。好きじゃないのに。こわいよー、とか言いながら「一生懸命見てる」のだ。その理由は、いまいちわからない…
ところにより雨…?って、「ところにより雨」だよね? 気分の話? むぅん…
気象情報で「ところにより雨」と言うとき、私は私の暮らす街一帯の、雨が降りやすい場所の降水確率が高いのだろうと考える。市街地近くなら水田地帯や畑の多いところ。市街地でない場所では山間部や大きめな川の辺り、つまり、空気中に水蒸気の放散が起こりやすい場所だ。水蒸気を多く含む空気が上空に巡って、冷たい空気と接触すると、水蒸気が寄り集まって雨雲になる。天気の変化にはちゃんとした理由と正確なプロセスがある。
人間の意識と現実の模様にも、ちゃんとした理由と正確なプロセスがある。天気は空模様に反映されるが、人間の意識は現実に反映される。アメリカの諺だったと思うが、「世界は公平ではないが、正確だ」というものがある。いつも考えていることが個人の現実として展開するという意味らしい。
生きていれば、晴れの日も雨の日も、曇りの日もある。猛吹雪の日もある…かもしれない。人生に広がりと複雑性が育てば、「ところにより雨」も珍しくない。ただそのまま見れば良い。自分を誤魔化さずに。
考えれば考えるほどわからなくなる「特別」の定義。
まず「全体状況ありき」の比較表現だ。
だいじなものはだいじ。
大好きなものは大好き。
「特別な存在」って表現すると、途端に掴み所がなくなりそうだ。「特別…特別…トクベツ…あれ?」な感じがするのだ。
法事にまつわるコマギレ時間のなか、「特別」について考えてみたが、やっぱりわからなかった。「特に別けて扱う」というような意味は確かにある。でもどこに「別ける」境界線があるのかわからない。
「わからんわ!!」と書いて終了だ。
私は子ども達から見て、「バカみたいなことをやる母」のようだ。上の子には“変態”と言われ、下の子には“ポンコツ認定”されている。
自分でも“バカみたいだな”と思う。しかし、これは必要なことなのだ。
上の子と話すとき、わざと中二病ぽく話す。その方が、「言葉が届く」ことが多いからだ。半世紀を生きてるおばさんが中二病的な言葉回しをするなんて、バカみたいにもほどがある。でも、少しでも「言葉が届く」なら、安いものだ。
下の子が宿題を面倒くさがって計算を頼んでくるとき、計算を間違う。あらー、おかしいな? もう一回やってみよう……えーと、までいくと、「もういいよ。自分でやる。ママってポンコツだなぁ」と来る。よしよし、自分で考えてこその宿題だ。
バカみたいに、毒のない「はずし」や「ズレ」をふりかけて、大事なことを笑いのうちに埋め込んでおく。そのタネの芽吹きが必要になったとき、大まじめな真剣さをそれらが助けてくれれば、しめたものだ。
うちの子ども達には合っているらしい。それが役に立つなら、いくらでもバカやるぜ。