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11/8/2022, 10:33:56 AM

あなたとわたし

不思議に思う。

おおらかで芯が強く、
穏やかな陽だまりみたいな貴方が
どうして一緒にいてくれるんだろうって。

神経質で繊細、
些細なことで気分が浮き沈み、
ネガティヴ思考なわたしなのに

いつもそばにいてくれる。
貴方って変わってるのね?


不思議だ。

キミはこんなに素敵な人なのに
いつも自分なんかと思っている。

いろんなことを気にかける優しさがあって
他人に対して思いやりがあって
物事を慎重に考えられる。

人の優しさを見つけるのが上手で
小さなことにも感謝ができて
僕に向けてくれる笑顔がとびっきり可愛い。

みんなが羨むキミなのに
僕のそばにいてくれる。

キミってば変わってるな?


それでも。
こんなわたしでも、貴方が好きだから
隣にいてもいいのかな?


それでも。
そんなキミにどうしようもなく惹かれてる僕だから
キミの隣にいてもいいだろうか?


貴方とわたし。

僕とキミ。

思うことは違えど
想いは同じだからね!

10/15/2022, 9:33:10 AM

高く高く


小鳥の声が聞こえて
空を見上げる。

大きな空に翼を広げて軽々飛んでゆく姿に
目を細めた。

わたしにも翼があったら
あの小鳥のように
どこまでも果てしなく続く空へ
飛び立ってゆけるのに。

空に向かって手をかざす。
目を閉じてイメージしてみる。
自由な翼を手に入れて
羽ばたいてゆく自分の姿を

地上から離れた身体は宙を舞い、
景色がぐんぐん遠ざかる。

月の輝きに魅せられて、
翼に力を込める。

もっと高く、もっと高くだ。

次第に空気が薄くなり
身体は空中で静止。

息が止まったかのような刹那、
月を見つめて一直線に落ちてゆく。

あの輝きには届かないのか。

不意に落下が止まる。
落ちてゆく身体を風がふわりと受け止めた。
優しく包みこむ暖かい力。

『行け』

風がわたしの背を押す。


諦めない。

もう一度
空へ飛ぶ。

高く、高く。

自由の翼を広げて。

わたしはどこへでもゆける。

10/13/2022, 9:58:16 AM

放課後

さようならの挨拶が終わると、俺たちの時間だ。
学校が終わって、もうなんのしがらみもなくなる。
あとは家に帰ろうが、残って遊ぼうが、勉強しようが、各々の自由だからだ。
やるべき決まった時間から解放される放課後、一目散に教室を飛び出していく男子を見送る。本当に、ねずみみたいに早いやつらだな。
俺も早く遊びに行きたいけど、宿題を終わらせてからだ。
家に帰ってまで勉強したくない。さっさと終わらせるに限る。
授業中にやる問題とかは終わらないと宿題に回されるから、いかに授業内に終わらせるか、俺は時間に追われている。
これはすへて遊びのため!
宿題を終わらせておけば親にも何も言わなくて済むし。
出されたプリントを手早く済ませると、ランドセルを掴んで教室を出た。

昇降口に散乱するランドセル地帯を越えて校庭へ駆け出した。
今日はドッジボールか。もう何人かで始まっていた。

『よっ!俺も混ぜてくれ』

同じクラスのやつに声をかけて適当にコートに入る。違うクラスの子もいるけど、みんなでやった方が楽しいし、いろんな子と話せるきっかけにもなるから俺得だった。

『ほいきたー!』

ボールが俺に回ったきた。相手コートにいる同クラのやつ目掛けて投げるふり。全く違う方向へボールを飛ばした。

『おっしゃ!』

油断していた隣のやつに当たる。

『ずるいぞー!不意撃ち狙いやがって』
『油断してる方が悪いんだよっ』

俺たちのやりとりに周りの子たちもつられて笑った。
へへっドッジボールは頭脳戦だぜ。
そのあと、俺に当たるまで外野のやつとの攻防が続き、今度は俺が外野に回る。
明後日の方に飛んで行ったボールの行方を追うと、ジャングルジムが目に入った。
校庭遊具の中で飛び抜けてデカいジャングルジムは滑り台付きで、学校ではジャンボ滑り台と呼ばれていた。
そのジャンボのてっぺんには、放課後、いつも女の子がいる。
同じクラスの子で、頭が良く、休み時間によく本を読んでるのを見かける。キャーキャー騒ぐ女子と違って、おとなしめな印象だったのに、あんな高いところまで登っていくんだなと、初め見かけたとき意外に思った。
俺が気づくと、大体あの子はいた。どこか寂しそうな顔をして、下校時間まで座っている。
今日も、ひとり頂上に座って黄昏れてる。
一体あの子は何をしてるんだろう。友達を待ってるのか、何か考えことか。
俺みたいなやつでは想像がつかないことだけど、少し気になっていた。

『ねぇ、一緒遊ばない?』

ジャンボのてっぺんまで行って声をかけると、その子は驚いて手すりからずり落ちそうになって、それがちょっとおかしくて笑った。

『でも、他のクラスの子もいるし…』
『大丈夫だよ!みんな良いやつしかいないしさ、いつもひとりでいるのもつまんないだろ?』

俺の言葉に女の子は顔を赤くした。
え、なんか悪いこと言ったか俺。

『とりあえず行こう!俺も行くし!』

二人で滑り台を降りると、コートに戻った。
その子が混ざったからって誰も何も言わずに遊んだ。

下校のチャイムが鳴ると、一斉に昇降口へ駆け出す。時間を過ぎると次の日のボール遊びが禁止になるルールだからだ。

帰り際、あの子を探す。
ドッジボールの最中、寂しげな顔はしてなかったから、楽しく過ごせていたと思う。

『帰り気をつけろよ!』

水色のランドセルを背負った背中に声をかける。

『今日はありがとう、すっごく楽しかった!』

振り返った女の子は笑っていた。
ふわっとしたお花みたいな笑顔に、俺は不意に心が揺れた。

『…やっぱり、そっちの顔の方がいい』
『え?』
『なんでもない!楽しかったならよかった。じゃ、また明日!』

背を向けて走り出す。
変に心がくすぐったくて、もどかしい。

沈んでゆく夕日が二つの頬を赤く照らしていた。




追伸。
以前のお題『ジャングルジム』のアナザーストーリーで書いてみました。
『ジャングルジム』では思いを寄せる子をただ遠くから見ていたい女の子目線。
今回『放課後』では、そんな女の子のことを実はずっと気にしていた男の子目線のお話です。

作者の好みを詰めた物語で、考えながら書いたもなので設定とかガバガバですが雰囲気でお楽しみいただけたら幸いです。

10/12/2022, 9:58:43 AM

カーテン

夏の日。
暑さにだらけてごろごろ。
ベットに足をかけて床に寝転がると、ベランダに干した洗濯物が目に入る。
真っ白なシーツや洋服が、時折吹く風に揺れるさまをぼーっと眺めているのが好きだ。
風は窓のレースカーテンを揺らすと、床に伸びる者の鼻先をかすめて、もとに戻っていった。
廊下から可愛らしい鈴の音が聞こえ、愛猫が登場。
顔を近づけてくる猫の鼻に指を沿わせると、ひと嗅ぎして、顔を擦り寄せる。
さらに撫でようと手を伸ばすと、猫は主人のお腹の上を通って出窓へ飛び乗った。
ちぇ。気分屋め。
後を追って、窓辺から垂れて揺れる尻尾をしばらく観察。
やがて飽きる。
風が吹いて、レースカーテンがふわりと舞う。
心地よい風に目を閉じると、どこからか風鈴の音(ね)。
ちりん、ちりん。涼しげな音(おと)。
音色に誘われて、いつの間にか眠ってしまう昼下がり。


10/11/2022, 5:09:34 AM

涙の理由

人知れず涙を流すあなたの、
涙の理由を知る権利が欲しい。

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