高く高く
小鳥の声が聞こえて
空を見上げる。
大きな空に翼を広げて軽々飛んでゆく姿に
目を細めた。
わたしにも翼があったら
あの小鳥のように
どこまでも果てしなく続く空へ
飛び立ってゆけるのに。
空に向かって手をかざす。
目を閉じてイメージしてみる。
自由な翼を手に入れて
羽ばたいてゆく自分の姿を
地上から離れた身体は宙を舞い、
景色がぐんぐん遠ざかる。
月の輝きに魅せられて、
翼に力を込める。
もっと高く、もっと高くだ。
次第に空気が薄くなり
身体は空中で静止。
息が止まったかのような刹那、
月を見つめて一直線に落ちてゆく。
あの輝きには届かないのか。
不意に落下が止まる。
落ちてゆく身体を風がふわりと受け止めた。
優しく包みこむ暖かい力。
『行け』
風がわたしの背を押す。
諦めない。
もう一度
空へ飛ぶ。
高く、高く。
自由の翼を広げて。
わたしはどこへでもゆける。
10/15/2022, 9:33:10 AM