Rei

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5/7/2024, 1:41:32 AM

[世界が終わらなくても君と]
「明日、世界が終わったらどーする?」
また、突拍子も無いことを廉は言う。
「そうだなぁ、いつも通り過ごすかな」
だって、焦っても変わらないじゃんと笑うと
それもそうだと言って苦笑いをしていた。
…ほんとは嘘なんだけど。もし、明日世界が終わるなら廉に幼馴染みから恋人になりたいって言いたい。けど、意気地無し。そんな、何かが無いと好きっていう2文字すら伝えるのも難しい。
でも、確かに時間は有限だ。もし、明日世界が終わったら未練しかないから「海に、行かない?」
廉に負けないくらい突拍子に言った。
自分でも言えたことに驚いた。普段あまり提案したりしないからか廉は驚いていたけど
「良いな、今日の放課後行こーぜ」太陽みたいな笑顔が心の緊張をほぐしてくれる。「うんっ!」
はじめて自分から誘えたことが嬉しかった。
あまりにニコニコしすぎていたのか廉に
「そんなに海に行くの楽しみなのか?」
「ううん!れ、廉と行くのが楽しみだなって」
少し恥ずかしかったけど、素直になれた。
廉が少し照れながら「俺も」と言ってくれた。

5/5/2024, 2:21:42 AM

[放課後、バラの下で]
耳を澄ますと、ピアノが聞こえてきた。有名な曲だ。えーと、なんだったかな。ショパンだった気がする。でも、放課後の音楽室で誰が何で弾いているのだろう?ただ、音楽室に忘れた下敷きを取りにきたはずが別の事に気をとられる。
曲を弾き終わった感じがしたので、ドアをノックする。「入っても良いですか?」聞くと、ドアが開いた。「どうしたんだ?」声の主を見ると爽やかな黒髪に高身長の先生だ。彼は、今年新卒で入ってきた音楽の先生。優しくてイケメンで女子から人気があるんだよね。「すみません、下敷きを置き忘れたみたいで」と言うと先生は音楽室の中に入っていって
「これかな?」と手に白い下敷きを持っている。
「それです!ありがとうございました。」と下敷きを受け取って帰ろうとしたところ、さっきの弾いていた曲が気になって
「さっき、弾いていた曲綺麗でした!何て名前の曲ですか?」
「別れの曲、だよ。」と目を細めてどこか懐かしそうで大事そうな口ぶりで言った。
「あ、あのっ!また、聴きにきても良いですか?」
図々しいと断られるかなと控えめにきいてみる。
「いいよ。でも、放課後にこっそり弾いてるのは他の先生にも友達にも内緒にしてね?」と悪戯っぽく笑ってグランドピアノの椅子に座った。

5/4/2024, 7:47:14 AM

「秘密のパンケーキ」
今日、無断で授業をサボった。なんとなく、受ける気が起こらなかったからだ。
外をパーカーを深く被ってふらついていると見慣れた顔がいた。相手も気付いたようで
「真白~!!何でここにいるの?」
「それは、私も聞きたいよ。るな」
るなとはだいぶ昔からの仲だけど、学校が違うから久々に会った。
「なんとなく、今日は授業を受ける気にならなかったの」と真白が言う。
「私も。久々に今から遊びに行かない?」と聞いてみると真白も
「私も同じこと思ってた~!!今からパンケーキ食べに行こ!」と誘われて頷くと真白と一緒に歩いてパンケーキを食べに行くことにした。
「この事は、二人の秘密ね?」と私は人差し指を口元に持っていって微笑んだ。

5/1/2024, 11:13:17 PM

[偽りを塗ったクマ]
「ねぇねぇ、どの色が良い?お揃いでストラップつけようよ」といわれて出されたカラフルなクマのぬいぐるみ。
ほんとはピンクが好きだけど…
「じゃあ、水色にしよーかな?」無難に選ぶ。
「ほんとにそれでいいの?」と昔から仲が良い友達に言われる。「うん!水色、好きだから」と笑顔を作っていう。水色が好きな色なのは、ほんと。

もともと、私はピンクが一番好きだった。でも、中学生になったときに「お前ピンク好きとか似合わなっ」 「わかるw」と男子たちに笑われてから水色とか白色を選ぶようになった。
自分の好きなものをこれ以上傷つけられたくなかった。好きなものを偽らずに生きるって難しいな。
家に帰って、ポストを覗くと私宛に何か届いていた。開けてみると、手紙と可愛いピンクの花のヘアピンが入っていた。手紙には
「___へ 元気にしてるかな?全然会えなくて悲しい~!!また、長期休みに会おうね!そういえば___ってピンク好きだったよね?昔から一番似合ってたから、良ければつけてほしいな~!誰になんと言われても胸をはってて良いんだからね!」
読んでるうちに勝手に涙が出てくる。
私のこと、よくわかってるなぁ。
昔の傷は消せないけど、上書きしよう。
そっと桜のヘアピンをとると手が温かい気がした。

4/30/2024, 10:52:39 PM

幸せの楽園。そう呼ばれる場所がこの世にあるらしい。
昨日、学校帰り友達がふと言ったことだ。
今日も一緒に帰ってる途中
「今日一緒に楽園を探しに行こーよ!」
「今日は、用事があるの!ごめんね」
「え~、一緒に行きたかったな」
「また、一緒に探そ~!気をつけてね!」
そういって別れた後、少し気になってもう少し聞いとけば良かったと後悔した。

翌朝、学校にいくといつも一緒に行ってる子がいない。他の子に聞いても今日は来てないらしい。
それから何日たっても彼女は来なかった。
もしかしたら、彼女は楽園に行って戻ってこないのか?そうだとしたらあの時、私が止めなかったから責任がある。
そう思って、楽園を探す日々が始まった。

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