まだ見ぬ世界へ!
沢山のゲームをプレイしていても、まだまだ見た事のない世界は幾つもある。
枠を設けないから尚更ほぼ無限という訳だが。
(苦手ジャンルもあるし、見合ってないジャンルもあるもんなぁ)
特にセンシティブ系は色々と問題もある。
それに、正直格好悪い自分を見せたくないのもあって、ストレートに好きなジャンルを選びがちだ。
ただ、友人からの勧めや彼らがプレイしているものを参考にしてみた所新鮮で楽しかった。
奥が深いと自分の未熟さを再確認して、今日もどれにしようとかと物色すればまたマンネリスイッチが入ってしまった。
(あー、もうどうしよ)
文字通り頭を抱えていると、背後から他人事らしく呑気な声が落ちて来た。
「アレやらないの。俺がやったやつ」
「いや…なんかさ、真似って言われそうじゃん」
「いいじゃん。そんな人一杯いるでしょ。今更今更」
彼の一押しはとても力強い。すぐその気にさせられてしまって。
ニヤついてしまいそうになる口元を強く結んで、ダウンロードボタンをクリックしたのだった。
最後の声
いつの間にか二人でいる時間は減った。
いつの間にか四人でいる時間が増えた。
それでいい。楽しいのは変わらない。
外の声は、二人を切望しているようだったが多忙や盛り上がりを理由として誰かが欠けたら日を改めたり、三人であったり二人きりではなくて。
久し振りに始めたテニスだって、別の人間がいる。
距離を取られている訳ではなく、談笑するのは普通に出来ているからそれを言い訳のように自分に言い聞かせた。
(まだ、大丈夫)
(だって)
今日だって、うちに集まって撮る予定は組んでいる。
ちゃんと誘えば来てくれる。
あの頃とは違う楽しさが確かにそこにあるのに。
(どうして俺とは二人きりで撮ってくれないの)
その声は、何とか飲み込んで、消えた。
空に向かって
久し振りの晴れ模様に思わず顔を上げた。
(買い物…いや、あの店に行こうかな。うーん、悩ましい)
晴れたらと待っていた予定を頭の中で組みつつ出掛ける準備をしていると。
「あら」
あちらも同じだったようでお誘いの連絡。
悩む振りだけをして返信をすれば無意識に浮き足立つ。
家を出て見上げた空は今日一日のご機嫌を約束してくれるようで。
(せっかく、会うのは久し振りやもん、ね)
心の中でだけ、言うからね。
旅の途中
先が見えないと言うのは、正に人生は旅に似ているとは思う。
最後は分かっているけれど、最期はどうなるかは分からないのは皆同じで。
ふと悪い事ばかりが浮かぶあたり俺は疲れている。
「終わった?」
一仕事終えたのが分かったのか、待っていてくれた声に振り返る。
居てくれる。それだけで、もう。
「俺も終わったし、休憩か遊ぶ?それか散歩行く?」
じっとしているのは時間が勿体ないのか、次から次へと予定を立ててくれる彼は嬉々として鞄を掴む。
まるで旅支度をしているようなその姿を横目に動かない俺。
どれもそんな気分ではなかったけれど、こうも忙しなく動かれては致し方ない。
「後ろからついて行くね」
「何で?」
隣じゃない理由はあえて言わずに吊られるように笑って靴を履いた。
見えない先も、道中だって、彼がいるだけで。
帽子かぶって
寒さ、暑さ以外ではファッションであったり使用理由は様々。
俺は顔を差されるのが嫌なので着用しているが、彼は気にしない。
マスクは流行り病に向けてのものではある。
その為顔が、見えない。
深く被った帽子のお陰で今日の寒さも耐え凌げる。
こっそり見ている視線にも気付かないで、何をしようか何を食べようかと周囲を見回す。
(今日は、家でゆっくりしたい…なあ)
包まれる安心感からか眠くなって来たものの、流石に出掛けたばかりで帰ろうとは言えない。
俺も何か提案しようと顔を上げた時、一気に視界が開けた。
「帰ろっか」
帽子を少しだけ上げられた視界一杯に見えた瞳に息を呑む。
答えるより早く、踵を返した長い脚。
慌てて隣に戻りながら深く被り直した。
(寒、……いや、暑いわ)