太田エイ

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4/22/2026, 7:55:00 PM

たとえ間違いだったとしても、私を見て欲しい。
最近、誰も見てくれない。
こちらから話しかけても無視される。
私はここにいるのに、みんな通り過ぎる。知ってる人も知らない人も。
こちらを見てくれる人がいても、その視線の先では別の誰かが応えていたりする。それでも見てくれる視線は本当に嬉しい。
生きている時は、そんなことなかったと思いたいが……。

4/21/2026, 10:39:32 AM

雨になると彼女を思い出す。
彼女は雨が大好きで、一緒に暮らしていた頃、雨が降ると僕の都合なんかお構いなしで無理やり起こされ、外に連れ出された。
眠いのに、しかも雨の中。
面倒くさいなあなんて思いながらも引っ張られ、近所の公園に連れて行かれた。
都会ではあるがそこそこ大きな公園で、木の散歩道がある。見上げるような高さの木が両側から枝を張り巡らせて、暗くもないが不思議な明るさの場所があるのだ。
そこにつくと彼女は傘をたたみ、くるくる回りながら決まってこういうのだ。
「ほら、雨が降っているのに濡れないよ」
雨の雫は枝葉から幹に流れ落ちていく。
彼女はそれが好きらしく楽しそうで、そして僕もそんな彼女を見るのが好きだった。

あの散歩道に、今はもう行っていない。

4/20/2026, 2:22:29 PM

記憶喪失で保護された男は病院のベッドにいた。
いろいろ質問されたり、歩かされたり走らされたり泳がされたり、記憶を復活させるためにいろいろ試された。薬もいろいろ飲まされた。
それでも記憶は戻らなかった。
最近では朝昼夜と「何か思い出しましたか?」と聞かれるだけになった。

実は思い出しているのである。
酷い生活だった。
安アパートに一人暮らし、借金もあった。
仕事はあるにはあったがとても人様に言えるものではなかった。裏稼業も金にならないと惨めなものだ。
そして仕事のトラブルから追われ、追い詰められ、半殺しにあったのだ。
決して戻りたい人生ではない。

「何か思い出しましたか?」
「いや、何も……」

何もいらない。
ただ、この病室で静かにしていたい。

4/19/2026, 2:06:21 PM

もしも未来を見れるならだって?
そりゃ見えますよ、タイムマシンみたいには行けないけれど、見ることまではできるようになったんです。
人類のテクノロジーはそこまで来たんです。
でもね、未来を見るといっても自分の未来しか見られません。未来の自分の身体に意識を重ねるような仕組みなのです。
まあ、いずれタイムマシンみたいなものも発明されるかもしれません。でも、今はここまで。未来の自分から世界を見るだけです。

やってみますか?

ただし、一つだけ注意することがあります。
自分が死んだ後を見ようとすると、その恐ろしさで廃人になってしまうのです。まあ、それが死後の世界なのかもしれません。
あなたは、自分がいつまで生きていられるかわかりますか? 
来年は生きてる? 来月は? 明日は? 
未来を見るって勇気がいるんですよ。
テクノロジーだけではダメなんです。

4/18/2026, 4:02:24 PM

春になると夜の散歩に出たくなる。
夜も暖かく、風が吹くとむしろひんやり心地よい。
昼間とは違う光加減が街を違う場所に変えてしまう。
最近の街灯はLEDが多く、昔よりも強い白さが照らしている。その光は色彩を隠す。
特にそう感じるのは寺の裏手の墓地。
そもそも色の少ない場所ではあるが、並ぶ墓石は無色の世界だ。塔婆の白木も黒く見える。

ここからは本当の話なのだが、ヒトダマが見える時がある。青白かったり、赤かったり、黄色だったり割とカラフルなのだが、その光はどこにも反射しない。ただ、ゆらゆらと光り、すーっと消える。それだけのものだ。
一部の人はこれを地上の流れ星と呼んで願いをかけるらしい。
私はいつも間に合わない。

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