さあて、今日は年に一度の「初恋の日」! 今日は特別、全ての恋を初恋にしましょう! 長年連れ添った夫婦も、新婚さんも、恋人同士も、まだ実ってないふたりも、今日が初めての出会いと改めて想い、焦がれましょう。
と、いう日だったのですが、なぜか今までの関係をチャラにして、新たな初恋に向かう日と解釈する人多く、なんだそれは浮気じゃないかと。
次の日は「喧嘩の日」となった。
明日世界が終わるなら……、
今読んでいる本、終わりまで読むか?
読み終えたって、読後を味わったり、誰かにそれを伝えることも、人に貸したり、古本屋に売ったり、背表紙を眺めたり、似た本を探したり、もう何も出来ない。
だったら昔読んだのをもう一度読むか。
世界の結末がわかってしまったんだ。
新しいことはもういらない。
君と出逢って、人生が変わった。
気づけば何もかも上手くいく人生だった。
もちろん君との出逢いがいちばんの宝だ。
出逢いから50年、君は自分を顧みず僕のためだけに尽くしてくれた。僕は君のために何かしてあげられただろうか。
「そんなこといいのよ、いい人生だった?」
ああ、いい人生だった。
そして彼女は口を滑らせてしまったのだ。
「いい人生の方が価値が出るのよ」
え?
「あなたには50年だったかもしれないけれど、私にとっては一瞬。あとは収穫のみ。
夢のような人生だったでしょう?」
真夜中。
一人ぼっちの一軒家。
耳を澄ますと、昼は微かだった音が普通に聞こえる。
遠くの電車の音。
虫の音。
冷蔵庫などの機械音。
そして人の気配がする。
水道から一滴の雫がポチャン。
彼女はまだ待っている。
「ごめーん、「二人だけの秘密」バラしちゃった……」
「はぁ?」
「呪いなのよ、バラさないと死んじゃうの」
「ユリちゃん、何言ってんの?」
「だから、つい、あんたが中学に入っても時々オネショしてたって兄貴にバラしちゃった!」
「最悪、お兄さんに? アタシが好きなの知ってて……」
「あんたも何かバラさないとヤバいよ」
「ユリちゃんが2人目の義父の食事に何か粉薬混ぜてることとか?
1人目の養父を殺して、床下に埋めたこととか?
実の父親を観光地の崖から突き落としたこととか?」
「やめてー」
「どれを誰にバラせば、助かるの?」