太田エイ

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4/7/2026, 11:58:33 AM

沈む夕日といったら、ウルトラマンと怪獣の戦いだろ? いや、夕日を背に土手をひたすら走るスポコンドラマとか。そして何か寂しいイメージがある……。
何かの世間話でそんなことを言ってたので、昭和だ昭和だ、エモすぎると言ってしまった。なんか、そういう映像体験が強烈な記憶として残っているらしい。
さて、若い世代はどうかというと、デジカメやスマホでバシバシ撮っている世代だ。だから夕日のイメージも、自分で撮った写真が印象に残る。寂しさよりも強烈な色彩の明るさが焼き付く。
どちらも写真や映像だが、見るだけ世代と、撮る世代。この違いは大きい。
昭和は夕日で泣かされ、令和は夕日でイイねを稼ぐのだ。

4/6/2026, 8:00:24 PM

君の目を見つめるとジロジロ見るなと言われるし、人が話しているときは相手の目を見ろとも言われる。
言葉を発している間だけ目を見て、言葉が止んだ瞬間目を逸らすということか、忙しい。
この矛盾に対して何が問題なのか考えたところ、その差はジロジロであった。
ジロジロはダメなのである。
では、キョロキョロ、しげしげ、ちらちら、ぎろぎろ、ぱちぱち……。
他もダメなのである。
だから、私はあなたの目を見ることが上手くいかない。
オノマトペ無しで見なくてはならない。
目は口ほどに物を言うとも言いますが、どうやら目はオノマトペでも語ってしまうらしい。
だから、見るに関するオノマトペは言ってはならないという結論です。

4/5/2026, 6:20:46 PM

満月の下、街道を外れ崖の方までジリジリと鍔迫り合いが続いていた。
何かの弾みか、ふたりは同時に飛び退いた。
そして同時に振り下された刀がギラリ。
肉を斬る手応えが空気を震わせた。
ふたりともどうと崩れ落ちた。
あたりから人の気配が消え、静寂が訪れた。

何刻経ったか、満月が沈み、雲間の星明かりで一人が立ち上がった。もう一人も、いつの間にか立ちあがっていた。
互いに気づいた瞬間、刀を探しもう一度構えようとするが……。

「ぬし、もうよそうではないか」
ひとりが声をかけた。
「親の仇とはいえ見ず知らずの貴公を斬り捨ててもなにも残らん」

「待て待て。おぬしはまだ生きておるのか? 先ほど確かな手ごたえを刀身から感じたが……」
「拙者も感じたが……、死んでなくとも相当な痛みのはず……」
「そちらこそ相当の手負いのはずだが……」
「妙だな」
「身体に付く血はおぬしのもののはず……」
「それは己の血であろう」
「拙者は痛みも感じない」

雲がきれ、星空の下で辺りがうっすらと見えてきた。
ふたりの間にひとりの男が倒れている。

「……これは」
「……まさか」
ふたりの声が同時に出た。

……倒れているのは、拙者か
「はて、面妖な……」

「返り討ちですまぬ」
……いや、かまわん、己の修練が未熟だっただけのこと
「いや、剣さばきは見事であった。勝負は互いの力ではなく、天の思召し」
……無念ではあるが、ぬしと話せてよかった
「早くに知古を得ておれば、そして親の因果がなければ、良き友となれたものを」
……いかにも、今となっては仇よりもそれが無念なり

そして互いに手を差し出すも空を切るだけであった。

……さらばじゃ、いずれ天の拙者を訪ねて参れ
「必ずや」
……

4/4/2026, 8:26:26 PM

言葉出さずに正義を成す。心眼豪傑拳を学ぶ俺は、修行半ばで悪の組織にお師匠様が殺されてしまった。その後の修行は独学で行い、なんとか心眼豪傑拳Bくらいまで高めることができた。その時、空から内なる心に直接『…それでいい……』とお師匠様の声が響いた。お師匠様が見守ってくれている!
よし。修行とともに復讐の旅に出よう。お師匠様を殺めた組織を壊滅させるのだ。
『…それでいい……』

最初の村に着く。
娘さん、ここらで飯を食べるところはないか?
「はい、私の家では握り飯を売っております。梅干しと塩結びのどちらがよろしいでしょう?」
そうな、梅干しをいただこう。
『…それでいい……』
あ、お師匠様は梅干しお好きだったな……

娘さん、どこか泊まるところはないか?
「我が家は旅籠でもあります」
お聞きはしてみたが、実は私は修行の身、銭を持たない。薪を割って払うでよいか?
『…それでいい……』
お師匠様、静かに!
「は?」
いや、こちらのことでござる。
「では、薪割りと一晩の用心棒としてご滞在ということで……」
何か訳があるのか?
「実は毎晩、悪人どもがこの村にきて暴れる奪うの大騒ぎなのです」
そうか、修行がてらお守りしんぜよう。
『…それでいい……』

さて。陽が落ち店先の提灯が灯されると村は昼とは別の賑わいを見せる。そこへ西から強面のごろつきがゾロゾロとやってきた。

狼藉者とは奴等か?
「はい」
まかせておけ。
『…それでいい……』

こら待ちなさい。この村に入れるわけにはいかぬ。
「なんだ、お前は? 一人で何ができるってんだ、者ども、かかれ!」
手にした鞘を振り払い、並ぶ抜き身が10本! そのうちの一本がギラリと光るが……。
えいっ。
Bとはいえ心眼豪傑拳、バタと一人倒れる。
『…それでいい……』
次の一本は下から切り上げられるが、
えいっ。
『…それでいい……』
次は正面から切先が現れる。
えいっ。
『…それでいい……』

お師匠様、少し静かにしていてください!
『…それでいい……』

「何をぶつぶつ言っているんだ。今日のところは許してやろう。者ども、引き上げるぞ!」

ふう、ふう、はあ、はあ。
息が荒く自分の修行の至らなさを感じる。
『…それでいい……』
いや、これで良いのでしょうか?
『…それでいい……』
お師匠様はそれしか伝えられないのですね……
『…それでいい……』

お師匠様は喋り過ぎ、破門にします!
『…それでいい……わけなかろう……』

……。

あ、違うことも言えるじゃん!

4/3/2026, 2:35:21 PM

兄弟姉妹が多かったので、いつもお菓子は1つだけと言われて育った。小粒のチョコレートがたくさん入った箱も、1つだけ、1つだけと言い合って大事にみんなで分けた。どれにしようかと、それだけで楽しかったし、ジャンケンで決めたりも盛り上がった。
それが、いつのまにか2つでいいことになり、結局私一人だけで食べるようになった。
ちょっと淋しい。

末っ子のひとりごと。

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