「きれいだねぇ、」
「はい……本当に綺麗です…、」
日の出を目にした先生ははっ、と息を飲んだ。
空気が冷え込んで身震いするほどの朝。
隣には大好きで恋焦がれている先生がいた。
スリムなコートと可愛いマフラー。
「誘ってくれてありがとう、貴方と見れてよかった」
「私、わたしも、…一緒に見られて嬉しい、です」
微笑んだ先生が日の出に照らされてキラキラしている。
好きな人とこうやって偶然ではあるけれど、一緒に日の出を見ることができてもう既にいい一年だが、もっといい一年になりそうだ。
また来年もこうやって一緒に見てくれるだろうか。
先生の隣でみる日の出はたぶん、世界で一番綺麗だった。
2024.1.3『日の出』
今年は先生と色んな場所に行ってみたい
先生の授業の成績をもっと上げて褒めてもらいたい
先生料理が上手って聞いたからそれも食べたい
あとは…先生と同じ職業につけるように勉強を頑張りたい
そもそも、抱負ってこんなのでいいのかな。
もっと立派な…と考えても先生に関係することしか思いつかなかったので割愛する。
「卒業する前に、…先生と付き合っちゃったり!?!」
自分で想像してベットで悶えた。
わたしみたいなちんちくりんにも優しい先生が彼女にどうやって接するのか気になる。
先生、連絡はマメそうだしモテる要素しかない。
どうしよう、連絡先も知らない相手は流石に恋愛対象にはならないかぁ、
あ!そうだ、今年の抱負、連絡先を交換する、これに決定
これなら、夏休みも冬休みも関係なく話せる。
絶対に交換してやる、という強い意志を持ってしまった1月の2日。
2024.1.2『今年の抱負』
「お正月だからっていつまで寝てるの!!」
突然、鬼の形相で私の部屋に入ってきたお母さんの威力に寝起きながら面食らった。
びっくりして思わずは、はいっ!!なんていい返事を新年からくりだしてしまう。
「わかったから……そんなにおこらないで、」
もう、なんて部屋のドアを閉めて1階へと降りていったお母さんを見送って何とか布団から出ようとする。
冷え込んだ冬の寒さは肌をさすようだ。
今更このぬくいベットを出るなんて想像しただけで鳥肌ものだ。
どうせならもう一眠りしちゃおうかな。
どんな夢を見たかも忘れてしまったし、初夢が先生だなんてちょっぴりロマンチックじゃないか。
現実で会うことが出来ないならせめて夢の中では恋人同士のような夢がみたい。
この後また部屋に乗り込んでくる鬼の形相を知らずにまた夢の世界へと旅立った。
2024.1.1『新年』
来年も今年のような生活を続けられますように。
今年よりもちょっぴり幸せになってるも尚よしだ。
2023.12.31『良いお年を』
この一年色々なことがあった。
こうやって家にいると無駄なことを色々考えてしまう。
最近やたら親密になった生徒とか最近距離を掴みかけている先輩とか。
あ、余計なことを考えていたらゲームオーバーの文字。
俺ってやっぱりゲームセンスがないのかも。
はぁ、とため息をついてコントローラーを置く。
気の抜けたため息をついたせいかぐぅと腹の虫が鳴いた。
「おなかすいた……」
無性に実家の蕎麦がたべたくなった。
味が薄くて当時の俺には物足りないものだったけれど、歳をとるとお袋の味が恋しくなるらしい。
昔の誰かの言葉は本当みたいだ。
来年もこうしてだらだら生きた一年をまた振り返るのだろうなとおめでたい年の瀬に考えた。
とりあえず今は蕎麦をたらふく食べてしまいたい。
2023.12.30『1年間をふりかえる』