テーマ たとえ間違いだったとしても
相手がだれであろうと、
ご主人に向かってくる者は全て警戒する。
たとえそれが間違いだったとしても、
ご主人を守るためには、こうするのが1番だと思う。
と言わんばかりに飼い主の前で構えるしばいぬ。
その先に女子高生2人。
「かっわいいー!」
「ほんと可愛いさわっていいですかー?」
ご主人はそう簡単に触らせないはず…
と主人の顔を見るとにっこりと笑い頷いていた。
わしわしわしわしわしわし…
優しく揉んでくれる彼女たち。
嫌な感じは全くしなかった。
しばいぬは尻尾を振って喜んだ。
テーマ 雫
雨司る女神の涙
その一雫を聖水に落とし祈れ
畑にまけば土豊かになり
枯れた草木は息を吹き返す
人に与えれば傷病すぐに癒やされる
その古い書物を聞かせると、雨の女神がにっこりと笑った。
「その書物が読めるって事は、あんた勇者ね。アタシを探し出した時点でなんとなくそんな気がしてたわ。さて、私も頑張らないとね!」
小太りの婦人の姿が光と共に美しい青い髪の女性へと変わっていた。
そう、雨の女神は街へ入り人に紛れて難を逃れていたのだ。
--------。
「頑張るんだよ勇者。困ったらまたおいで、力は制御されているけどあんたを導く事はできるからね。」
青い小瓶を渡された時、彼女はまたあの婦人に戻っていた。
次は炎の女神に会うために南の火山島へ向かうのだった。
テーマ もしも未来を見えるなら
見えたとしても見ない。
自分に未来がある、それだけ分かればいい。
具体的な事は分からなくて良い。抽象的で十分だ。
未来は今の自分が作っていくものだから。
「行ってきまーす。」
ランドセルの方が大きい気がする新一年生。
とびきりの笑顔と桜散る中、小走りで。
田植え前の畑にレンゲが咲き誇り
モンシロチョウはふわふわと。
その姿を自然と目で追う学生服の新一年生
彼らに抜かされゆっくり歩く。
道脇飾るたんぽぽと
オオイヌノフグリがお見送り。
スーツシワなし新一年生。
学生時代を思い出しながらネクタイ引き締めしっかり歩く。
テーマ 桜散る
ーアイツは生きている。
俺が生きてるから、アイツだって生きてるにきまってる。
ここではない、どこかで。
そう思いながら、一年、また一年…。
修行をして、手がかりをさがす。
しかし聞く人、聞く人皆、彼のことは名前しか知らない。
変な感覚に陥り、街から逃げるように出ていく。
そしてまた修行をしながら次の街へ。
ふと水たまりに映る泣きそうな自分を見つめる。
不安が心を支配し、流す涙も枯れかけたその時
「…○○?」
沈んだ顔で振り返ると
少し背が伸びて大人に近づいたアイツがいた。
「…やっとみつけた、また一緒に旅に出よう。」
アイツは涙を堪え、震えた声で俺に手を差し伸べた。
「バーカ、どこほっつき歩いていたんだよ。」
止まっていた運命の時計が、また動きだすかように
遠くの街の鐘の音があたりに響いていった。
テーマ ここではない、どこかで