あそこに輝くは、ずっと探し求めていた
創味シャンタンチューブタイプ。
なんと棚の最上位に列をなしているではないか。
凛とした姿は、城を守る近衛兵のように堂々として美しい。
だがしかし、一歩一歩近づくにつれて誘惑が襲いかかる。
味覇、香味ペースト、中華あじ、炒ソース…
幾多の困難を潜り抜け、私はついに目の前までやってきた。
まっすぐ手を伸ばした先に…
背伸びをしてジャンプをして…
あともう少し…指関節一つ分なのに…
取りたいけど、取れない…
そう、届かないのだ…
届かぬ想いを胸に、スーパーの調味料コーナーで佇む私。
呼び込み君のBGMが虚しく聞こえた特売日。
テーマ 届かぬ想い
お気に入りのお茶を淹れて、
大好きなお茶菓子を持って、
木漏れ日の注ぐあの森へ行くの。
着いてすぐにお茶の支度をして、
神様を待つのが私の日課。
神様へ
こちらで休憩しませんか?
こんなご時世だもの疲れちゃうじゃない。
私と一緒にゆっくりしましょう。
と唱えて私はお茶を始めるの。
すると心地よい風がすーっと私の頬を撫でるのよ。
きっと神様が来てくれたんだと思うわ、素敵でしょう。
そんな不思議な彼女は後に、
勇者を助ける聖女になるという事は
まだ誰も知らない。
勇者と愉快な仲間たち
テーマ 神様へ
街を包む汚れた空気やモヤモヤした気持ちも、
昨晩の雨で流れてしまったみたいだ。
丸ごと洗濯したかのように爽やかで、
くしゃくしゃで汚れた自分の靴が逆に目立つくらいだ。
ここを離れて随分と経ったような気がする。
どのくらい帰っていないのかも、
なぜ出ていったのかでさえも
わからなくなってしまったのだから。
でもこの和菓子屋は変わらない。
通り過ぎてすぐの不動産屋も、その向かいの花屋も。
そうそう、古い薬局のある交差点を左、
二本目の路地をすぐ右に入るとそこに二階建ての我が家が
なくなっていた。
快晴の空が虚しく広がる更地。
…私はいったいここへ何をしにきたのだろうか。
そもそもここはどこだろうか。
老人と街
テーマ 快晴
あーあ。
やり場のないこの気持ちをどうしようか。
あーあ。
怒っても泣いても慰めてくれる訳でもない。
あーあ。
ため息ひとつ。
あーあ
昼下がりの公園。
お気に入りのメロンパンを奪って、
トンビは遠くの空へ飛んでいったのであった。
あの日のメロンパン
滑らかで艶やかではあるが
どことなく子供っぽさが残るような姿
何も飾らないのも良いが
白い帽子をかぶるのもいい
君との口付けは甘くほろ苦く
言葉にできない幸福感をもたらす
ついさっき会ったばかりなのに
すぐに恋しくなる
次に会うときもまた
とろけるような時間を私に与えておくれ
プリン