街を包む汚れた空気やモヤモヤした気持ちも、
昨晩の雨で流れてしまったみたいだ。
丸ごと洗濯したかのように爽やかで、
くしゃくしゃで汚れた自分の靴が逆に目立つくらいだ。
ここを離れて随分と経ったような気がする。
どのくらい帰っていないのかも、
なぜ出ていったのかでさえも
わからなくなってしまったのだから。
でもこの和菓子屋は変わらない。
通り過ぎてすぐの不動産屋も、その向かいの花屋も。
そうそう、古い薬局のある交差点を左、
二本目の路地をすぐ右に入るとそこに二階建ての我が家が
なくなっていた。
快晴の空が虚しく広がる更地。
…私はいったいここへ何をしにきたのだろうか。
そもそもここはどこだろうか。
老人と街
テーマ 快晴
4/13/2023, 2:08:35 PM