ーアイツは生きている。
俺が生きてるから、アイツだって生きてるにきまってる。
ここではない、どこかで。
そう思いながら、一年、また一年…。
修行をして、手がかりをさがす。
しかし聞く人、聞く人皆、彼のことは名前しか知らない。
変な感覚に陥り、街から逃げるように出ていく。
そしてまた修行をしながら次の街へ。
ふと水たまりに映る泣きそうな自分を見つめる。
不安が心を支配し、流す涙も枯れかけたその時
「…○○?」
沈んだ顔で振り返ると
少し背が伸びて大人に近づいたアイツがいた。
「…やっとみつけた、また一緒に旅に出よう。」
アイツは涙を堪え、震えた声で俺に手を差し伸べた。
「バーカ、どこほっつき歩いていたんだよ。」
止まっていた運命の時計が、また動きだすかように
遠くの街の鐘の音があたりに響いていった。
テーマ ここではない、どこかで
4/17/2023, 12:55:15 AM