花明りの空の下私はベランダで虚空を眺めていた
ぽつんと置かれたビール缶を口に流し込みながら
君と別れた交差点を思い出す 。
それは春宵のとき
僕は君の軽快なジョークに聞き惚れながら別れを惜しんでいた。淡い髪がゆらゆらと揺れて綺麗だった
そんな時後ろからクラクラするような猛烈な光が君を照らして耳を割く様な音が響き
君を飛ばしていった
君を轢いていった
白いトラックには赤い液体がついている
春は別れの時期と言うがあまりにも無惨だ
私と頬には自然と雫が着いていた
小雨が降り注いでいる
涙を出し切ってしまった私の代わりに
空が泣いてくれている
桜の花びらが目の前をゆらゆらと落ちていった時
ベランダを締めきり部屋に明かりをつけて前を向いた
遠くのまちへ
人が遠くを求める時は新たなもの、変化を求めるときだ。例えば欲しいものを買いに行ったり、刺激を求め旅行に行くのがいい例だろう。
明るい模範的な人々はいつも新たなものを求め、
知識を求め冒険している。
今の私はどうだろう。未練タラタラで、彼女の陰が薄れていくのを恐れ閉じこもっている。
思い出に手を伸ばし悲しみのそこで這いながら彼女がまた微笑みかけるのを待っているのだ。
このまま久遠の時を過ごすのだろう。心からそう思った。
いいや!!今のままではダメだ。彼女の陰を追いかけずに自力で歩いて行かなくてはならない。彼女に永遠に付きまとう訳には行かぬ。彼女のためにもこの依存心に終止符を打つのだ。
遠くの街へ行こう。できる限り遠くへ。目にしたこともないような美しい景色を見に行こう。
新たなもの……いや
新たな生きがいを探しに行こう。
冷たい風が私を押してくる
追い詰められて
苦しくなって
自分の温もりに頼ろうとしても
もう冷めていた
より所を無くした私は
きっともう冷めきっていた
より所が
温かさが
心に染みる
もう
苦しく感じてしまうのだから
ねぇ...やり残したことはない?
心残りのことはないかな?
だってもう同じ日は訪れない
目を閉じる前に
眠りにつく前に
もう次に目を開かないであろう
この体で
必死で心残りを自分に聞くけど
いざとなると何も思いつかないや
親友である君に
唯一思いついたのは
在り来りな言葉しかないんだ
許してくれるかな?
ごめんね
「ありがとう」
涙の理由
「大丈夫?」
それは
ただただ私を心配する
暖かくて何気ない一言
その声を聞いた瞬間
目の前の景色が滲んだ
その言葉は優しくて
暖かくて嬉しい一言
じゃあこの
胸を締め付けるような
この苦しさは
どこから来たんだろうか
「涙を絶対に見せちゃダメだ
心配させちゃダメだ」
私の心が必死に
伝えてくる
私は笑顔で顔覆い
「大丈夫!心配しないで!」
と元気に答えた。