「あの夢のつづきを」
いつもの場所で目を覚ます
ぼんやりしていた視界がはっきりとしていく
あぁ、あともう少しだったのにな
...小さく呟く
さっきまで僕の目の前には君が居て
僕に背を向けて走っていたんだ
僕は必死になって追いかけた
ずっとずっと
あともう少し
あともう少しで君の肩に手が触れそうだったのに
あぁ、またもう一度
今日は雲ひとつない快晴。
青い青い空。
気温はかなり高く、今日も猛暑日になるだろう。
学校へ行くためにいつもの道を歩いていく。
「あっち〜...」
隼人が手で顔を仰ぎながら声を出す。
「そりゃそうだよ、夏だもん。」
私と隼人は家が近く、幼稚園の頃からの幼馴染。
クラスは違うが、毎日一緒に学校へ行っている。
「なぁ、海行きたくね?」
「期末近いから、終わってからならいいけど。」
隼人と遊ぶ約束をするのは久しぶりだ。
最近はお互い、部活の友達やクラスメイトと共に休日を過ごすことが多いから。
すると、隼人はニヤリと笑って言った。
「違う、今日。今日の放課後!」
その言葉に、私は思わず声が出てしまう。
「はぁ...?」
_______________________
学校が終わり、放課後。
私と隼人は海に居た。
「本当に来ちゃった...」
隼人は足だけ海に浸かり走り回っている。
すると私の方を見て声を上げる。
「おーい!お前もこっちに来いよ!」
何だか何かが吹っ切れた私は、靴を脱いで隼人の方へと向かう。
「こうやってお前と遊ぶのは久しぶりだな。」
「そうだね。」
しばらく雑談をすると隼人はいきなり、私に海水をかけてくる。
「びしょ濡れになった方の負けな!」
隼人は笑いながら言った。
その顔は、私の良く知る顔。
"子供のように"笑顔な、楽しそうな隼人の顔。
私も面白くなってきて、隼人に仕返しをした。
「望むところだ!」
空はいつのまにか真っ赤に染まっていた。
でも、私たちは気にせずに遊んだ。
結局太陽が完全に沈むまで、私たちは遊びまわるのだった。
大嫌いな梅雨
雨は沢山降るし、じめじめしていてとても暑い。
そんな梅雨が僕は大嫌いだった。
いつかの梅雨の時期、家に帰る時間帯に雨が降った。
朝の天気予報では晴れのはずだったんだけどな。
折りたたみ傘は先日壊れてしまい、どうしたら良いか分からずじまいの僕。
もういっそのこと雨に濡れて帰ろうと決心したその時、君がちょうど僕に話しかけてきた。
「急な雨だね。」
「そうだね。」
君は綺麗な青い傘を広げて言った。
「あれ、傘は無いの?」
「うん、折りたたみ傘がこの前壊れちゃって。」
すると君はにこにこしながら僕に近づき、傘の中に僕を入れた。
「家まで入れてくよ」
ありがとうと感謝を伝えた僕は君と一緒に歩き出した。
行動だけ見ると落ち着いているが、僕の心の中では大パニックだった。
僕たちは今まさに俗に言う相合傘をしているのだ。
君は相合傘をしているつもりが無かったのか、ずっと僕に話しかけていた。
この状況がなんだかおかしくって、僕は思わず笑ってしまった。
君は不思議そうな表情で僕を見つめながら、つられ笑いして一緒に笑った。
大嫌いな梅雨が少しだけ好きになった。
未来の僕へ
元気ですか?
あなたは今、幸せですか?
僕は今、毎日辛い日々を送っています
学校では1人で遠くから聞こえる悪口を聞かないふりをして
家では褒められる弟を横目に僕の部屋に行く階段を上るだけ
僕の居場所なんてどこにも無いのです
今の辛さや苦しさは未来の自分もよく分かっていると思います
正直、今の僕がこれからどうなろうと構いません
未来の僕が幸せなら
それで
それでいいのです
誰からも期待されてない僕が
未来の自分に期待する
なんだか変な気持ちです
未来の僕は過去の僕なんかを忘れるぐらい楽しい思い出を作って欲しいのです
僕はきっと明日も同じような一日を送ります
未来の幸せに賭けて僕は戦います
来るかも分からない幸せに
未来の僕へ
今を楽しんでください
過去の僕より
モンシロチョウがひらひらと羽ばたいていて
遠くで鳥のさえずりが聴こえる
辺りは草が生い茂り明るい色の花々に囲まれていて
耳を澄ますと川の水が流れる音がする
太陽が優しく微笑みかけるような暖かさ
僕は野原に寝そべる
広がるのは海みたいに広がる一面の青空
雲一つ無い快晴だ
昨日も一昨日も見た景色だけど
今日も今日とて良い景色
僕は立ち上がって自分の鞄から画用紙を出した
この景色を見た感じや思い
全てをこの一枚の画用紙にのせる気持ちで
僕は鉛筆を手に取り右手を動かした