大嫌いな梅雨
雨は沢山降るし、じめじめしていてとても暑い。
そんな梅雨が僕は大嫌いだった。
いつかの梅雨の時期、家に帰る時間帯に雨が降った。
朝の天気予報では晴れのはずだったんだけどな。
折りたたみ傘は先日壊れてしまい、どうしたら良いか分からずじまいの僕。
もういっそのこと雨に濡れて帰ろうと決心したその時、君がちょうど僕に話しかけてきた。
「急な雨だね。」
「そうだね。」
君は綺麗な青い傘を広げて言った。
「あれ、傘は無いの?」
「うん、折りたたみ傘がこの前壊れちゃって。」
すると君はにこにこしながら僕に近づき、傘の中に僕を入れた。
「家まで入れてくよ」
ありがとうと感謝を伝えた僕は君と一緒に歩き出した。
行動だけ見ると落ち着いているが、僕の心の中では大パニックだった。
僕たちは今まさに俗に言う相合傘をしているのだ。
君は相合傘をしているつもりが無かったのか、ずっと僕に話しかけていた。
この状況がなんだかおかしくって、僕は思わず笑ってしまった。
君は不思議そうな表情で僕を見つめながら、つられ笑いして一緒に笑った。
大嫌いな梅雨が少しだけ好きになった。
6/20/2024, 4:47:30 AM