「あかりを灯して」
ボク、キツネの子。アサヒっていうんだ。まだ5歳。
ボク、夜はきらいなんだ。暗いのは怖いし、友だちもみんな眠っちゃってつまらないんだもん。昼間はね、みんなできのみ拾ったり、鬼ごっこしたりして遊ぶんだけど…
ボクはね、暗いのが怖くて、よく寝付けない。怖がりなのかなぁ…よく、ママに抱きついて寝るんだ。でもね、やっぱり暗くて寝れない。せめて、小さな灯でもあったらなぁ…って思う。今日も、寝れなくてこんな話をしてるんだ。寝れないかもだけど、おやすみ。
___次の日___
ボクの名前の意味はね、朝の光のように温かな光でみんなを優しく包み込んで、昼のお日様のように元気いっぱいの子になるってママが言ってた。でも、今のままじゃあ包み込まれる側で終わっちゃう。自分を寝かせることだってできないんだから…確かに、朝、お日さまがのぼってきたら、なんか安心するよ。だけど、みんなを安心させることはできてない。友だちのヨルも、タイヨも、ね。2人ともボクみたいに夜は寝付けないらしい。そんな2人と、ボクを安心させられるような、優しい光があればいいのに。ボクは、そんなことできるかな…
昼になって、ボクはヨルたちと遊んだ。
タイヨ「おにごっこしよー」
ヨル「いいよ!」
アサヒ「タイヨ鬼ごっこつよいもんね」
タイヨ「よし!鬼きめ鬼きめだれが鬼かなぁ」
ヨル「あっ、ボクだ。じゃあ10秒待つよ」
アサヒ「よーいどん!」
タイヨ「あっ、鬼さんがきた」
アサヒ「鬼さん鬼さんこっちだよー」
ヨル「まてー」
アサヒ「あっ、つかまっちゃった…」
タイヨ「じゃあ、鬼ごっこ終わりだね」
ヨル「うん」
ボクは、2人に夜は怖いか、聞いてみた。
タイヨ「うーん…怖いかなぁ」
ヨル「そうだね…小さい灯りでもあればね」
アサヒ「やっぱみんな怖いよね」
タイヨ「うん」
ヨル「あっ!小さい灯りといえば…」
アサヒ、タイヨ「なに?」
ヨル「あのね、前ママに聞いたんだけど、キャンドル
って言ってね、火をつける明るく優しい光を灯
すんだって」
アサヒ「どこかに売ってるの?」
ヨル「売ってるのは人間の町だけど…作れるらしい」
タイヨ「つくってみようよ!」
アサヒ「いいね。作り方、わかる?」
ヨル「そこまで詳しくは聞いてないや」
タイヨ「じゃあさ、みんなそれぞれ、キャンドルの事
聞いてきて」
アサヒ、ヨル「OK!」
___家で___
ボクは、約束通り家でキャンドルの事をママに聞いてみた。作れるのなら、作りたかったしね。
アサヒ「ねぇ、キャンドルって何?」
ママ「キャンドルは、火をつけると、小さな灯りを灯
すものよ」
アサヒ「作れるの?」
ママ「ええ、作れるらしいわ」
アサヒ「つくってみたいなぁ」
ママ「それなら、明日ラッカおじさんの所へ行ってみ
るといいわよ。キャンドルを一緒に作ってくれ
ると思うわ」
アサヒ「ラッカおじさんは、ものづくりの天才だけど
、キャンドルも作れるの?」
ママ「ええ。ママが子供の頃に、キャンドルを作って
もらったわ」
アサヒ「へぇ〜じゃあ、明日ヨルたちと行ってきても
良い?」
ママ「いいわ。気をつけて行ってらっしゃい」
___次の日___
次の日、みんなで聞いた事を発表した。
アサヒ「ねぇ、どうだった?」
タイヨ「うーん」
ヨル「ボクは、前にはラッカおじさんの所で売ってい
た事しかわからなかったな…」
タイヨ「ボクはね、自分で作ると自分だけのデザイン
の素敵なキャンドルが出来上がるって」
アサヒ「わぁ!3人でお揃いのキャンドルを作りたい」
タイヨ「いいね!3人の友情の証として」
ヨル「タイヨ、『ゆうじょうのあかし』なんて言葉使
えるんだ」
タイヨ「ママがよく言ってたからね」
アサヒ「ボクが聞いた話はね、ラッカおじさんの所へ
行くと、一緒に作ってくれるって」
ヨル「すごーい!」
タイヨ「今から行ってもいいかな?」
アサヒ「ボクは、行っても全然大丈夫」
ヨル「ボクも!」
それから、ボクたちは、3人そろってラッカおじさんの家へ出かけた。
コンコンコン!こんにちはラッカおじさん。
ラッカ「いらっしゃい。どうしたんだい?」
みんな「あのぅ、ボクたちキャンドルを作りたいので
ですが…」
ラッカ「良いよ。まずは家の中に入ったらどうだい」
タイヨ「よろしくお願いします!」
ボクたちは、家の中に入れてもらった。家の中は暖かくて、とても心地良かった。
ラッカ「キャンドルは、どんなキャンドルを作りたい
か決めているかい?」
ヨル「決めていません」
ラッカ「なら、まずはどんなものを作りたいか決める
と良い」
私は、10歳の女の子。ラプっていうんだ。きょうは、【想い出】の話をするね。
ママの友達に会いに行くと、ママたちはよく、「こんな事あったよね」「あんな事したね」って、しゃべってる。
思い出話をしてるみたい。でもね、私はまだ、10年しか生きていないの。10年って長いのかもしれないけど、ママたちに比べたら、全然短い気がする。それに、そのうちの1、2年は、物心もついていないでしょ?それで、私の思い出ってそんなにあるのかな?沢山あるのかな?って思ったんだ。だから私の思い出を、ママに聞いてみることにしたんだ。
ラプ「私の想い出って何がある?何個ある?」
ママ「思い出⁇」
ラプ「そう。私の10年の人生で、どんなことがあった
かってこと」
ママ「思い出ねぇ…色々あったわよ。それに、ラプは
10年しか生きてないって思ってるかもしれない
けど、この10年が、1番新しいことが多くできて
るんじゃないかしら?」
ラプ「そっか…」
ママ「まず、生まれてからハイハイができるようにな
って…」
ラプ「そういうことじゃなくて!想い出だよ。ママた
がみんなで話してるような」
ママ「そうねぇ…まず、幼稚園で友達ができてから、
初めてみんなでアスレチック行ったのは覚えて
る?
ラプ「覚えてるよ。そういう想い出を沢山話してほし
いんだ!あるだけね」
ママ「そのあと、みんなでリラと、ラリーと、ラプの
バースデーパーティーをやったわ。あなたたち
仲良し3人組は、みんな誕生日が6月5日、6月6日
、6月7日って続いていたのよね。小学校に入
って、別れてしまったけれど。それから、み
んなで初めてのお泊まり会をやって…」
___中略___
こんな感じで、聞いた結果、私の想い出は思ってたよりは多かった。でも、やっぱママたちよりは少ないんだ。まぁそりゃ、生きてる期間が断然短いんだから、しょうがないよね。
明日から学校!もっともっと想い出を増やしたいし、友だちにも想い出のこと聞いて、ママたちよりも想い出が少ないのは私だけなのか、それとも、私がみんなより多いのか、ふつうなのか。そう考えると、明日、学校に行くのがワクワクした。
___次の日___
ラプ「おっはよ〜」
ウク「あっ、ラプおはよ!今日は早いね〜」
ラプ「うん、なんか早く行きたくなっちゃって」
ウク「そっか〜あっ、レレがきたよ!」
ラプ「ほんとだ!これで私たち全員そろったね」
私たちこの3人は、毎日仲良くしてるんだ〜
ラプ「ねー」
ウク、レレ「ん?どうしたの?」
ラプ「みんな想い出って沢山ある?」
レレ「うーん…」
ウク「そうね、あるにはあるけど、ママたちほど沢山
ではないの」
レレ「ママたちが集まると、よく想い出話してる気が
する〜」
ラプ「やっぱそうだよね」
ウク「ウチも、この前ママに聞いたんだけどね、思っ
てたよりは多いけどやっぱり…」
レレ「私はね〜幼稚園の頃、引っ越しばっかしてたか
ら、幼稚園のときは、あんま想い出ないかも」
ラプ「私、友だちつくるのに時間かかってるから、入
園とか入学したてのころはあんま想い出ない」
ウク「わかる〜」
先生「席についてくださいー」
ラプ「あっ、授業始まる!また中休みね」
___中休み___
中休みに、また話をしたんだ。校庭で鉄棒しながらだけどね。
レレ「想い出って友だちいっぱいのほうが多くできん
のかなぁ」
ウク「うーん…」
ラプ「でも、使える時間は同じだからねぇ」
ウク「わかんないけど、いくらいっぱいいても、ちょ
びっとずつ仲良いとかだったらあんまりかも」
レレ「そうみると、私たちすごく沢山の想い出作れる
くない?
ラプ「ほんと、そんな気がする」
ウク「私は明るい、レレは天然、ラプはしっかりもの
で甘えんぼ。ってこんなに性格違うのに、こん
に気があってるもんね」
レレ「私たち、友達になってから、どのくらい想い出
つくったかなぁ」
ラプ「すごく沢山だと思うけどね」
ウク「うん。でも具体的な数字はわかんない」
ラプ「じゃあさ、こんなカード作んない?」
私は、教室に戻って、2人にこんなカードを紹介したんだ。
まず、真ん中にメインとなる言葉を書いて、そのまわりにみんなからのメッセージや、イラストを描いたりして、グループのシンボルにする。すると、2人はすぐに賛成してくれた。
レレ「良さそう!」
ウク「みんなの友情も明確になるしね」
ラプ「じゃあ、放課後私の家で遊ばない?そのときに
これ作るの」
ウク「よし!じゃあ決まりね。3時に、ラプの家の前で
集合だよ!」
レレ「ワクワクしてきた〜」
___放課後___
ラプ「今日、私の家で、3時からみんなと遊ぶね」
ママ「いいわよ」
その後、私たちはカードを作り出した。
レレ「ねぇ、イラストとかを少なめにして、想い出が
できたら周りに書いてくのはどう?」
ウク「いいんじゃない?」
ラプ「どんな想い出作れたかわかるしね」
レレ「このことも想い出として、ここに書こうよ!」
ラプ、ウク「賛成ー!」
30分後、私たちはカードを作り終わってみんなでおやつを食べていた。
レレ「想い出カード、満タンになるといいね」
ウク「ほんとそう思う」
ラプ「満タンになったら、裏にも書こうか」
レレ「何枚でも作ろう!」
ウク「何枚できると思う?目標立てようよ!」
ラプ「30枚!」
ウク「50枚!」
レレ「100枚!」
ラプ「何枚でもいいからできるだけ多く作りたいね」
ウク「まずは、ママたちに旅行に連れてかせてもらわ
ないと!」
レレ「そうだね」
そのあと、私たちは、沢山遊んで沢山笑った。これで、想い出カードの想い出が1個増えたんだ。そろそろ楽しい時間も終わりに近づいたとき。
ウク「カードはアイディアを出したラプに預けるね」
レレ「なくさないでね」
そういって、みんなでバイバイをした。
その夜、わたしは、想い出が沢山作れるといいなと心からお月さまに願った。
「冬までに…」
私は、キツネ一家の一員、アキ。正確には、本州に生息するホンドギツネ。
キツネには、秋にやらなければらならないことが沢山ある。
まず、衣替え。といっても、人間のように洋服はないので、毛皮をふさふさにするの。次に、きのみ集め。冬眠する時のために、食料を集めておくんだ。でも、いつも通りの量よりは少し少なくてもOK。毎日は食べないからね。あ、ネズミとかも食べるけど、日持ちしないから冬にはあんまり…で、秋のうちに沢山食べておくんだ。食欲の秋だしね〜
これからは、私たちの秋の行動を、話してあげる。
[スポーツの秋]
「アキ〜」ん?「あ、フキノ、どうしたの?」私の友達のフキノが話しかけてきた。「そんなに巣にこもってると腐っちゃうよ。鬼ごっこしよう。スポーツの秋だし、みんないるしさ、」ふと周りを見ると、フユ、ナツ、ハル、ツキ、タイの仲良しさんが集まっていた。「やろっかー」そういってアキは背伸びをした。
「【鬼きめ鬼きめ誰が鬼かな】あ、ハルだー代わり鬼ね」そうやって一番やんちゃなフキノが鬼を決めた。〈よーいどん!〉の合図で、みんな一斉に走り出した。鬼のハルだけは残って十秒数えている。
ハルも走り出した。みんな逃げ回る。「捕まっちゃったー」「次の鬼、ナツね」こうして、鬼がナツに代わった。こうして、鬼が全員に回った頃、お母さんたちの呼ぶ声がした。「ご飯の時間だよー」
[食欲の秋]
あまり仲良くない男の子たちや、一緒に遊ぶには少しばかり小さすぎる子ども、お祖父さんお婆さん、お母さんお父さん、お兄ちゃんお姉ちゃん。
みんな混じって、仲良くご飯を食べた。「みんなよく食べるね♪」「沢山遊んでるからかなぁ」「食欲の秋、スポーツの秋…秋はげんきになる季節だね」大人たちの楽しそうな話し声が聞こえる。
「あ、私のどんぐり取らないで!」「ネズミの丸焼きとって」「熱くて食べられないよぅ」小さい子たちの話し声。「おいしいね」「お母さんたち、ご飯作るの上手だもん」お姉ちゃんたちの話し声。みんなの話を聞いているうちに楽しく、気持ちよくなってきた。
[読書の秋]
ご飯の後は、寝る前の読み聞かせの時間。みんなそろってお父さんのお話を聞く。自分で本をいつも読みたがる子でも、お父さんの話は必ず聞く。
それは、とても面白くて暖かな気持ちにさせられるから。読書の秋。それは、本がとても面白く感じる季節。
[衣替え]
「衣替えをしましょうね」みんなの毛がだんだんふさふさになってくる。暖かで気持ちいいけれど、これから寂しい冬が始まるんだと思うと、少し悲しくなる。でも、こんな時にヤンチャで陽気なフキノがいてくれると助かる。
「おーい!ふわふわでいいでしょ!」かけてきて、自分の毛を自慢した。こうなると、悲しい気持ちも吹き飛んでいく。「いいじゃない。私の毛も見て。」自慢したら、気持ちよくなった。
これからも、よろしくね。
「秋の晴れ間に」
昨日、私は友人と栗拾いに行った。
秋は、晴れていることが少ないから、やはりその日も雨が降っていた。
残念がっていてもどうにもならないと思い、カッパを着て栗拾いをした。あまり気分が晴れなかったので栗もあまり取れなかった。
もともと、ピクニックをするつもりで来ていたので、東屋でお弁当を食べた。
すると、晴れてきたので、2人で喜んだ。
「窓からそそぐ」
朝起きて、窓を開けた。窓からそそぐ光は優しく、私を包み込んだ。
そして、ふっと浮くような不思議な感覚に包まれた。
それから、何があったのかは知らない。私は、雲の上の家にいた。家の窓から、外を覗き込んだ。
家は何一つ変わっていない。いや、一つだけ変わっていた。玄関に、「外には出るな」と張り紙がしてあった。
でも、出るなと言われると、出たくなってしまうものだ。外に一歩踏み出した。
私は、もっと警戒しなければならなかったのだろう。私は、雲の上から落ちてしまった。
私は、「もう外には出ないから、落とさないで」そう願った。
その瞬間、またふっと浮くような不思議な感覚に包まれた。そして、家にいた。
家の窓から、外を見た。すると、あたたかい光が差し込み、また不思議な感覚に包まれた。
何かが変わった気がした。何だろう?そうだ。普通の家に戻ったんだ。外に出ても、何も起こらない。窓から外を見ても、何も起こらない。あの、不思議で暖かな光は何だったのだろう。
私は、現実に戻った。現実が、一番嬉しかった。