_____愛して欲しかった。
ありのままのボクを受け入れて欲しかった。
ただ、それだけだった。
その為にあなたに献身を捧げた。
あなたはボクを見てくれた。
優しさを、愛を、注いでくれた。
本当に幸せだったんだ。
その代わり、ボクの両手は鮮血に染まった。
あなたの敵となる者を、排除し続けた。
永遠に癒えぬ哀しみを、憎悪を
名も知らぬ誰かに与えてきた。
それは、ボクの罪だ。
赦される事はないだろう。
これから迎える最期はボクへの罰だ。
あなたの為の献身としながら
全ては自分の為だけに生きてきた。
それに今なら分かる。
あなたの優しさは偽りで、別の人を見ていた。
ボクは最初から1人。
どうしてそんな簡単な事に気付かなかったのだろう。
※一人称 ボクですが視点の主はオリキャラの人外の少女です。
あなたの事が「好き」といえたのなら
どんなに楽だろうか。
どんなに願っても叶わぬ夢だと知っている。
あなたには、心を寄せる女性が既にいる。
どれほど愛しているか
言葉にしなくても理解できる。
いっそこの想いを捨てられたら
あなたを嫌うことができたら、どれだけ救われるか。
頭では分かっていてもそれができない。
何一つ手放すことはできない。
あなたへの想いは、大事な宝物だから。
独り善がりな恋心。
あなたに届く日は、永遠にない。
あなたを嫌う日も、こない。
それでも____
傍らに居ることは許されない。
一人で背負い続けてきた重荷を下ろせる日がきた。
弱音も吐かずがむしゃらに前に進んできた。
生まれながらに、自らは異質だと本能的に気づいていた。
言葉にする能力には恵まれず
疎外感に苛まれ孤独が深まるだけ。
心の奥に積み上がる負の感情は己を蝕む。
他の兄弟達のように、母に甘えることさえ許されない。
ありのままの自分は受け入れられず、
人の前では「良い人」の仮面を被り素顔を隠す。
それでよかった。
蝕む傷が一つでも減るのなら。
そんな時に出会った一冊の小説。
非日常への案内が、昏く淀んだ視界をクリアにし
静かな夜明けとなった。
その小説との出会いは
「好きなものを好き」だと
「嫌いなら嫌い」だと言って良いのだと
初めて教えてもらった気がした。
All'improvviso mi ricordo di te
quello è ormai un passato lontano
あなたにもらった誓いの指輪。
左の薬指にはまったまま外せない。
道を違え言葉も想いも届かない。
苦しみ葛藤のすえ堕ちたあなたを責めることはできない。
傍らにいたのに何もできなかった。
救うこともできない。
後悔が重りのように胸の中に居座る。
人と世界の敵になってしまったあなたを
想い続けるのは滑稽に見えるだろう。
引き返す事も叶わぬほど深く愛してしまった。
彼が逝く時はこの命が潰えるとき。
愚かしく純粋な愛をただ一人に捧げる。
君を見つけ出す。
君がこの世を去ってどれ程の時が経ったのか。
食事をしても味がしない。眠りも浅く体が気怠い。
大事な者を失い胸に大きな穴が開いた。
虚ろな空白は他の誰にも埋められない。
_____会いたい。触れたい。
宙に伸ばした腕は何も掴めない。
どれだけ生きたらこの地獄は終わるのだろうか。
__________
あれからどれだけ生きたか覚えていない。
無為に生かされていただけだった。
ただただ君を想いながら。
そう、だからこれは夢かもしれない。
目の前に渇望した君が居る。
「………ずっと会いたかった。」
「私も、あなたに_____」
腕の中に閉じ込めた温もりを確かめる。
どうか、この幸福が消えんことを。