明太子

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10/6/2025, 10:36:11 AM

老いた庭師は
縁側に腰を掛けゆっくりと息を吐く
今日亡き妻と世話した庭の紅葉を焼くつもりである
炎にかつての声を
煙にかつての仕草を
灰に過ぎた季節の温もりを見た
昔の情熱はまるでないが
モノと引き換えに精神は満たされた
消えた時間は灰と混ざり
翌春の、来世の、
まだ見知らぬ誰かの芽吹きの予兆になるだろう
そう願ってまた息を吐いた


燃える葉

10/4/2025, 9:25:58 AM

誰かさんが
誰かさんが
誰かさんが
見つけた
今日は誰が何を見つけるのだろう
期待、集団、自立、競争、友情、挑戦
時にそれらは
重圧、孤独、放任、比較、猜疑、混乱
と姿を変える
苦悩は理解され難く、
共感を浴びても意味はない
あいてしまった穴の型は見つかりづらいが
埋めてもらわねば進めない。
誰かが誰かを
誰かが誰かに
見つけられるその日まで


誰か

9/29/2025, 4:33:20 PM

人間は夢がないとかなんとかいって
自分の色を見落とし
世界が暗く見える時があるらしい
人生は塗り絵みたいなもので、
その章が終わっただけだと思う
次のページをめくったら、
ただ白くて黒かっただけだと思う
鮮やかな蛍光色はここでおしまい
次は色鉛筆かな。
水彩かな。
ペン画かもしれない。
また染め上げればいい
人から色をもらえばいい
少しずつ本から会話から趣味から
暗く見えるのは平常仕様だよ
新しい絵が出来上がるなら
モノクロもなんだか悪くないね。


モノクロ

9/28/2025, 3:32:11 PM

それでもあの夏の匂いは
胸の奥をくすぶっている。
蝉の声
湿ったアスファルト
蚊取り線香の残り香
大人を横目に
終わらない暑さに身を覆われて
小さな体は畳に転がる

戻らない時間と消えない記憶
いつかは忘れてしまうのだろうか
巡り巡る季節の裏で
未だ少しだけ思い出す


永遠なんて、ないけれど

9/26/2025, 1:48:10 PM

布団の温もりを惜しんで朝を迎えると
窓の外に小鳥がとまっていた
サンドウィッチをトーストして
コロンビア豆のコーヒーを淹れて
少しの時間眺めていたら
余裕という名の贅沢など跡形もなく消えてしまった。
何時に起きても
支度をすれば同じ時刻
無情にも進む時計の針を尊敬するよ。
コーヒーは後味にとっておくべきだったと
少し悔やみながらサンドウィッチを頬張る
静謐で優雅な朝を夢見る日々は
いつも少しだけ忙しない


コーヒーが冷めないうちに

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