明太子

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5/25/2025, 10:01:47 AM

お風呂から鼻歌が聴こえる
愉快な恋人に頬が緩む
同じシャンプーの香りを纏わせた君に
見慣れているはずの心がまた胸が高鳴った。
誤魔化したくて目を逸らす
同じ歌を歌って今日という余韻に浸る
感情が移る瞬間を隣で見られる幸せを
今はまだ引かれそうで言えない


#23歌

5/23/2025, 9:41:15 AM

20歳になった
年齢は数でしかないけれど
10代が終わってしまった喪失感は拭えない
青年期が終わり
大人へ変わってゆく
嬉しいような寂しいような
今になって全力で楽しめの意味が分かる気がする
早かった。
自分も小さな子を見て思う側になってしまうのだろうか
あの全てが輝く世界はもう見れないのだろうか
年上の言葉を素直に受け取ることにしよう
戻ってこない時間、忘れる記憶
皆が通る道だからこそ恐怖を感じてしまう
変わらない事のほうが多いのに
なぜこんなことを考えているのだろうか
人生第3章の始まり
さぁ、お酒を飲んでみようか。

#22昨日と違う私

5/14/2025, 4:19:00 AM

記憶を遡る
昨日置いた鍵がないことに気が付いた
どこにしまったっけ
どの鞄を使ったっけ
忘れた、
幸い外では使わないものだから
きっと家の中にあるだろう
鍵見つかるまで合鍵使うね。
しょうがないこんな日もある
母はこんな日しかないよと言う
鍵の乗った船は未だ記憶の海を漂う


#21記憶の海

5/10/2025, 12:46:23 PM

人間が手を加えていない世界
未知不気味恐怖廃墟
つまらないもので存在を印象づける
そのくせ都会に疲れたからと逃げてくる
ある人は縄を、ある人はテントを持って、
都合の良い生き物である。
──景色が圧倒的だった
──心霊現象起きるらしいよ
拡散されれば人が集る
ここもまた汚されるのか
死神がポーンとピアノを弾く
景色が好きな老人が、
廃墟に住む綺麗な恋人が、
熊に乗った子どもが、
ピアノの周りへとやってくる
静かな森が、戻りますように。

密かな望みが届くことを願って。


#19静かな森へ

5/5/2025, 3:50:54 PM

神様は時々残酷である。
向日葵の咲く季節に人を摘む。

その人は人より少し乱暴で、忘れっぽくて、
人見知りなくせに慣れれば気さくで、
何よりも本が好きで誰よりも世界を愛していた
そんな人が突然帰ってこなくなってしまった
難病だった。と
悲哀、混沌、動揺、拒絶
突然の出来事で血管がはち切れそう
難病なんて聞いていない
いなくなってから考えが巡る
あの時の言葉もあの時泣いていたのも
全部この世から、この世からいなくなるから、
徐々に生きた心地が消えてゆく
もっと何か思い出を、、

「隠しててごめんね。

私が話した世界旅行の夢、代わりに行ってきて。

ほんとはもう少し一緒に居たかったんだけど、

ちょっと無理みたい」

あぁ、だめだ読まなきゃ良かった
流れる涙にインクが滲み、
声が届かない虚しさで息が詰まる
これから一人でどう過ごせと言うんだ
手紙なんかより君が欲しい

そんなことが3年前
向日葵をみるとよみがえる
神様は時々残酷である。


#17手紙を開くと

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