明太子

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10/18/2025, 1:41:42 PM

君は光なのか霧なのか

声は届くのに返る声はない
手はそこにあるのに触れられない
存在するはずの天使が
記憶にしか形が残らないのは
夢を見させたいからなのか
はたまた希望を覗かせているのか
絵画に潜む神の使い
未だ人を誘うもの
光なのか霧なのか
揺らぐ羽を眺めてみても
やはり何も分からない


光と霧の狭間で

10/15/2025, 3:24:04 AM

伝票に書かれた祖母の字
一人暮らしには余るほどに
段ボールに敷き詰められた梨
今年も一番好きな季節がやってきた。

祖母というのは一度聞いた好物は一生モノで
まるで永遠かのように
何度も何度も買うそうで、
電話越しにだめになっちゃうからと伝えても
変わらない相槌が耳を埋める。

梨に溺れる日々が始まる予感。
お皿いっぱいに切った梨。
白く透き通る果実に
祖母の手を思い出すほどには
昔から食べているみたい。

昔が恋しいわけではないけれど、
思い出が切ないわけではないけれど、
始めて好きだと話したあの日が
昨日かのような祖母の言葉が、
いつしかなくなるこの温度が、
今日はいつもより感じて涙が溜まる


10/12/2025, 7:09:43 AM

博士はロボットを作っているらしい
感情をいれたロボットを作りたいのだと。
悲しみは喪失×記憶の強度だとかなんだとか
プログラムを何時間続けているのだろうか。
人間自ら必要とされない世界を作り出す意味が
僕には分からない
神話、宗教、文明、科学
人間らしいものを遭遇させたら
先祖の存在はどこへ消えるのだろうか
交わってはいけない
新たな未知は解明される前に他の全てが崩壊する
交わらないべきである
学問に収まる話ではない
それなのに、
世界が存在してはいけないモノに変わる瞬間が
もうそこまで来ている


未知の交差点

10/6/2025, 10:36:11 AM

老いた庭師は
縁側に腰を掛けゆっくりと息を吐く
今日亡き妻と世話した庭の紅葉を焼くつもりである
炎にかつての声を
煙にかつての仕草を
灰に過ぎた季節の温もりを見た
昔の情熱はまるでないが
モノと引き換えに精神は満たされた
消えた時間は灰と混ざり
翌春の、来世の、
まだ見知らぬ誰かの芽吹きの予兆になるだろう
そう願ってまた息を吐いた


燃える葉

10/4/2025, 9:25:58 AM

誰かさんが
誰かさんが
誰かさんが
見つけた
今日は誰が何を見つけるのだろう
期待、集団、自立、競争、友情、挑戦
時にそれらは
重圧、孤独、放任、比較、猜疑、混乱
と姿を変える
苦悩は理解され難く、
共感を浴びても意味はない
あいてしまった穴の型は見つかりづらいが
埋めてもらわねば進めない。
誰かが誰かを
誰かが誰かに
見つけられるその日まで


誰か

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