好きな人は、聴覚障害を持つ。
人工内耳をつけないと電車の音も聞こえないという。
声を発するたびに動く手が、
愛おしくて仕方ない。
「もう一度」
そう言って
聞き直すために顔が近づいてくる。
別の話に替えていつも通り会話をする日々
小さな声で呟くこの声が
届く日はきっとこないのだろう
届かぬ想い
みんな不思議な癖を持つ
みんな知られたくない本性がある
みんな話せない悩みがあって
みんな貪欲に生きる瞬間がある
得意不得意、好き嫌い
点数化されない部分は
測られることすらないかもしれない。
社会に出ると羨望だけでは進めない道がある
どれがいいのだろうか
何もないとは違うけど、何かあるとも言い切れない
これでいいのだろうか
社会を少し知った普通の子
それでいい
普通の基準は分からないけど、自分はきっと普通の子
それがいい
それでいい
どんなに努力をしても、
理想と反対に進むのはなぜ?
努力は必ず報われる?
報われるまでが努力?
報われないなら努力ではない?
全てに評価が付く世界
一つ間違えればそれでおしまい
誰も九十九の正解を褒めてはくれない
憎悪と憧憬の混ざり合い
葛藤するほど濁る頭
日に日に気持ち悪さが込み上げる
誰にも聞かれない小さな声で
誰かがどこかで嘆いている
今日も自分を責める人
今日も世界を責める人
人生に正解も不正解もないというのは
いつだって成功者と言われる人々
右も左も分からない
涙も出ない乾いた笑いが
何回目かも忘れた絶望の淵に引き摺りこむ
いっそのこと海の底まで連れてって
もう私は――――――
どこにも書けないこと
洗濯機が壊れた。
修理には3日はかかるとのことで。
24時間営業のコインランドリー
今日から3日間お世話になります。
かごに入った服の上に本を乗せて
靴は面倒だからサンダルにしようか
そんなこんなで辿り着く。
とそこには先着の社会人が一名
毎日来てます?
3日間だけです、洗濯機が壊れて。
あ、期間限定
話してみればどうやら似た境遇のようで
残り24分
急げば間に合う寝坊、見える範囲だけの掃除、
用のないコンビニ入店、寝るのを惜しんだ夜更かし…
ピーピーピーピー
どうでも良い一人暮らしの全貌を
慰めあっていたら洗濯が終わった
一足先に帰りますね。
ミッドナイト
御縁があったなら
また会いましょう
ミッドナイト
霞むことを知らない友人
一緒にいられる少しの嬉しさと同時に
なぜ友人が自分を必要としているのかわからない、
なんて問いが頭を埋める。
憎いのか皮肉なのか嫉妬なのか
それともただの苦痛なのか、
どれにも名前が似つかない。
眩しすぎるほどに、彼は白い
その光を今日もまた隣で浴びる。
人型の影に身を隠すだけの
避けることもできない臆病者
おこぼれをもらい続けている時点で、
この矛先は自分に向いている。
逆光