『君が見た景色』
肌を焦がす陽射し
風が頬を伝う汗を拭い
陽炎の中で君が揺れている
わたしはただひとり 君を目で追っている
どうか どうか消えないで…
わたしの傍に何時までもいて…
君の手を取りここに縫い止める
どうかわたしを見て その目に写して
君の見る景色に わたしを
空の様に澄んだ色をした
海の様に何処までも深いその瞳に
わたしは焦がれている
ほんの少しでも 君が見た景色に わたしを留めて
ふわふわと揺れるスカートの様に
風で遊びながら陽の光を広げていく
暖かなそれに包まれば、私を隠してくれる
透き通る布を被ればヴェールになり
彼とごっこ遊びをした時を思い出す
それはもう古くなって色あせて汚れてしまったけど
思い出の中ではいつもキラキラしてふわふわして大好きだった
『カーテン』
暖かく清潔感のある部屋、陽の差し込む大きな窓
部屋に入る光とは裏腹に外は雪が積もり灰色の世界だ
まるで色が無くなったように静かで、澄んだ空気が心地いい
僕はそんな季節が好きだった……
灰色の空を見ると部屋の中の方が明るく感じて
僕の世界が色鮮やかに見える
ここから動けない脇役の僕もまるで主役のように感じられる
そんな季節が好きだった。
春のような暖かな彼女と話すようになってから僕は冬が嫌いになった、まるで世界が終わってしまいそうに暗くて静かだから
もうすぐ僕の世界は終わる
春になる前になくなってしまう……
だからせめて最期だけは僕と一緒にいて欲しい
なんて、わがままだろうか
今日彼女が来たら僕の最後のわがままを伝えよう
『世界の終わりに君と』
『とりとめもない話』
あなたのコロコロ変わる表情が、
あちこちに散らばる話が、
何処へでも走っていってしまう行動力が好きだった。
卒業した私達は社会に揉まれてあの頃のようにキラキラした毎日じゃなくなってしまった。
あなたととりとめもない話をしたのは何時だっただろう…
窓の外を眺めるあなたはあの時の悲惨な頃に比べて
少しだけ穏やかな気がする
今ならあなたとまた出来るだろうか、
とりとめもない話を…
『眠れないほど』
君の事を考えてしまう