【バレンタイン】
ちょっぴり甘くて
ちょっぴり切ない、
バレンタイン。
女の子はそうなのかもしれない。
けど、
男にとっては、
戦場の日。
チョコいくつ貰った?
見えないけど、尖った刃を突き刺す日。
男のプライドが嘘をつく。
1日中、チョコの視線を見逃さない
本命チョコの匂いを見逃さない
そんな、甘い会話で人を刺す。
バレンタインとは、そんな日だ。
【待ってて】※長文注意
―喫茶店の薫り―
「母さん、?」
夜、物音で目を覚ますと、母さんがどこかに行こうとしていた。俺は眠い目を擦りながら定まらない視点を母さんに向ける。
母さんはこっちに気付き、目を見開いて驚いていた。
「どこ、行くの?」
母さんは何も答えない。俺の家は貧乏だった。だけど、心優しい母さんがいる。それだけで、俺は何も気にしなかった。
「いい?亮?」
母さんは俺を抱きしめて、優しく語りだした。
「こんな、ダメな母さんでごめんね。」
「そんなことない、母さんがいれば、俺はそれで…」
「いい子でいるのよ。」
母さんは俺の額に優しくキスをして、ドアに手をかけた。
「待ってるからね、!母さん!」
「……」
少し立ち止まった後、母さんは優しく微笑んだ。
「ええ。待ってて。」
けれど、今も、母さんは帰ってきていない。
約束なんて、口だけだった。母さんは、分かってたんだ。きっと。
「八木!起きろ〜今日バレンタインだぞ!チョコ位つくれ!喫茶店の中でも一番料理美味いのお前なんだからな!トリックオアバレンタインチョコ!」
「それ、ハロウィンだぞ?訳すと、バレンタインチョコをくれないと悪戯するぞ、になるけど大丈夫か?」
「あ、起きた」
同い年の京に起こされた。なんだか、過去の夢を見ていた気がする。
母さんは帰ってこなかった。でも、仲間ができたんだ。
「?亮?」
母さん、今、どこに居ますか?俺は今、元気に楽しくやってます。
俺は、待ってるからね。
「生チョコなら昨日作って冷蔵庫に入れてある」
「よっしゃ!食べていいの?」
俺は、俺の道を進むから。
【この場所で】※長文注意
―喫茶店の薫り―
あそこは、7人……と1匹のいる喫茶店。
でも、喫茶店に行くには……徒歩3秒。いや、3秒もかからない。
喫茶店に行きたい、と願うだけ。願って、部屋のドアを開ける。
開けた先は喫茶店になっていた。
「かんなちゃん?どした?」
「別に。ここにくる理由なんてなくていいでしょ?」
20歳のムカつくけどイケメンの八木さんがエプロンを着てラテを作っている。
「八木さん仕事は?大学行ってないのは知ってるけど、仕事は行ってるっしょ?いつも喫茶店に居て大丈夫なん?」
「まあ、多分大丈夫でしょ」
呑気な人だ。ふと、周りを見渡すと珍しくお客さんがいた。なのであたしは声を小さくする。
「てか、榎本は?いつもあいつ、不登校で昼間は居るじゃない。」
「お客さんが来たから、2階の仮眠室で寝てる。」
「あぁ、いい判断」
榎本は馬鹿みたいに五月蝿い。でも、やっぱりこの喫茶店にいる、ということは何か過去にあったのだろう。
あたし達は、過去に傷ついた。
だから、ここにいる。
でも、ここでのルールは、【卒業】するまで誰も過去のことは踏み出してはいけない。
あくまで、その人が話そうと思わなければ。
聞いてほしい、と言ったなら話は別だけどね。
「この場所で、いつか、あたしは、」
「?どうしたの?」
「……なんでもない。ココア淹れてくれる?」
【卒業】……23歳を過ぎるとここにはいれなくなる。
突然と喫茶店の扉がなくなるらしい。
八木さんも、後3年で……
あたしはココアに口をつける。
やっぱり甘くて、でもホッとする美味しさだった。
【誰もがみんな】―新シリーズ―※長文注意
「誰もがみんな、お前じゃないんだよ」
昔の親友に言われた、黒い言葉。
もう、とっくに昔のことだけど、俺の心の中ではずっと刺さって抜けない。
ただ、人より勉強ができた。ただ、人より運動ができた。だだ、リーダーシップがあった。
ただ、少し人より良く生まれてきた…らしかった。
でも、俺も、皆と同じなのに。
グループで活動していて、俺はリーダーだった。
テキパキと班員の意見を聞きながら、的確に指示をしていた。
なのに、一人だけ、俺が課した課題をせずに、遊んでる奴がいた。
1、2回位ならまだ分かる。次回からやってきてね、と言って、俺がそいつの課題をする。
でも、何回も、何回も…
だから、ある時言ってしまった。
「なんで、やってこねぇんだよ!誰がやってると思ってんの?皆に迷惑掛けてんだよ!」
俺が怒鳴ってしまったことをきっかけに辺りはしんとしてしまった。
他のグループから駆けつけてきたのだろうか。俺の親友が近づいてきた。
聞いてくれよ、と口を開こうとしたところで、
「……お前、それはないよ。」
「は?」
親友の口が先に開いた。突然なことで俺は思わず声を出した。
「泣いてんじゃん。気づいてやれよ。」
「いや、そいつがやんないんだし自業自得でしょ?」
「可哀想の気持ちもないとか……お前が無理な課題を出したからだろ?」
「俺は班員の皆と同じくらいの量と難易度の課題を出した!あいつが遊んでたから…」
「誰もが!」
今度はしっかりと俺の目を鋭く睨み、振り絞るような声で言った。
「誰もがみんな、お前じゃないんだよ。自分中心に考えんな」
「なんだよ……なんだよ!それ…」
でも、周りの目は冷たくて、冷たい言葉を浴びせられて、あの日は学校を飛び出したんだっけ。
次の日学校行ったら……、
「瀧ぃ!起きてくれ!頼む!えのきが!えのきが!」
「えのき言うなや!榎本や!」
「おめーら静かにしろや。ここ、喫茶店だよ?一応。」
騒々しさが耳に飛び込む。次にコーヒーのいい香りが鼻に掠める。
そっか。俺、寝てたんだ。
もう、あの息苦しいところじゃない。
もう、俺だけを別として扱うところじゃない。
「あ、瀧君起きた。」
「おーはよ」
俺には、居場所がある。絶対に、裏切らない居場所が。
「ん。おはよ。」
新シリーズ【喫茶店の薫り】(ネタがなくなった時に、この子達の小説を書きます。どうぞ、うちのコ達をこれからもよろしくお願いします。)
【花束】
世界一花束が似合う君に
花束を。
大事そうに抱えて微笑む君が、一番……
花のよう
鮮明な君に
触れたくて