九重

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7/31/2024, 4:15:43 AM

Innocent、という単語は実際英語圏の方からすると「無邪気」「無知」という印象であるらしい。
純粋であるという事は無条件に礼賛されるべきものでもないんだな、と感慨深い気持ちになった事を覚えている。
知れば知るほど、何事も複雑な多面性を持っていることがわかるように、一面しか知らない事は純粋と言えはしても素晴らしいとは言い難い。

今は情報が溢れている世界で、どんな面からの意見もたんまり集められる。
この中から何を拾い上げ、どう判断するか。

何を『澄んだ』ものとするのか。

そこにこそ、まさに自分の、あなたの人間性が
匂いたつように現れるのだろう、と思う。


お題・澄んだ瞳

7/23/2024, 6:59:33 AM

今までそれなりに、いや、結構な苦労をして生きてきた。
恥の多い人生を送ってきました、と文豪のように言えたらそれはそれで格好がつくが、何のことはない、ただただ生きるのが下手なだけだった。
それは大概今も変わっていないので、ほれ戻れ、と言われた所で同じ苦労をしにわざわざ戻りたくはない。

たくさんの失敗と、苦い経験と、辛酸をなめて地面を這いずり、それでも生きねばとあがいたり流されたり絶望しながら、ようやくここまでたどり着いた。
よたよたと転びながらも続けてきたこの大事な足跡を、わざわざ消して戻るほどクリティカルな出来事が私には無い。

もしかしたら、つまり、
案外と私は幸せに生きてきたのかもしれないな、
とそんなことを思った。



お題・もしもタイムマシンがあったなら

7/22/2024, 1:19:40 AM

この場はエッセイ的に綴るのが正解なのでは?という気がしてきたのでその様に使うことにしてみる。
欲しいものならたくさんあるものの
何にせよ仲間が欲しい。これに尽きる気はする。
お互い尊重しあえる関係性の人間関係があれば、大抵の物事は何とかなるのではないか(金銭と身体的健康の問題を置いておくならば)。
それがパートナーでも良いし、友人でも良い。
社会的動物である所の私達が健やかに生きるために、何を置いても必要だろうと感じる。
さてそれを得るには、たくさんの人に会って自分と世界観のあう人を見つけ、見つけてもらうしかない。
つまり社会の輪の中にどの方向から入っていくのか、どこに属すかをしっかり考えていかねばならない、という話にもなってくる。
職場、学校、趣味、子供などを起点にした社会にそれぞれの特性や興味やライフステージを鑑みて入っていく事になる。
自分で選択しやすいのは圧倒的に趣味の輪だろう。
私は今幸いにして適切な仲間を得ているとは思っているが、交遊を深めていきたい、広げていきたいともまた思う。
こうした散文を繋げていくことで、誰かに繋がっていったら良いな。


お題・今一番ほしいもの

7/18/2024, 12:20:47 PM

私だけが不幸なのだ、という盛大な勘違いをするのは見識の狭い証拠だ。
本でもSNSでもエッセイでも、大変な目にあった話はごまんとある中、自分だけがそうも特別だと感じられるのは盲目がすぎる。
それにしても、身に起きた事が辛いことを否定するのもまたちがう。
経験になったな、と思えば良い。
いつかその経験が活きる日がくる。


という話をどこかで読んだ気がするが忘れてしまった。何にせよあんまり好きな言葉ではないな。どれだけ特別な『私』『あなた』であるのかは、わざわざ声高に主張せずとも身近にいる人がきっと教えてくれる。それでもう良いのでは、と思ってならない。

お題・私だけ

7/17/2024, 9:27:34 AM

仕事のしすぎでいよいよ頭までおかしくなってしまったのかもしれない。
いつも通りたっぷりと顧客の自慢話に付き合わされ、はぁそうなんですねさすが、と繰り返し、ようやっと契約書をもぎ取った帰り道。
ふと見上げた夕焼け空と木立の合間で、でっぷりとしたカラスが地図を広げていた。カラスは器用に地図をつかみ、あっちか、こっちか、と頭をひねっている。

「カラス…だよな?ロボット…?」

最近はエンタメ業界で精巧なロボットを開発しているという─たしかアニマトロニクスといったか─雑学がふと頭によぎる。それにしたって、何故こんなところに。一体だれが。

見つめる先でカラスは器用に羽根を使ってくるりと地図を回し、我が意を得たりとばかりに、あぁ!と鳴いた。

「ダメだ、本格的に頭がやられてる。暑いからかな。帰ろう、そうしよう」

じり、と後ずさりしながら駅近の病院がどこだったか考え始めた矢先、器用に地図を下ろしたカラスの黒曜石のような瞳と目があった。鳥の表情などとんと検討もつかないはずが、その鳥はひどく嬉しそうに──笑った、気がした。

『旦那ァ!旦那じゃねぇですか!』

終わりだ。俺の頭はもうとっくにおかしくなってたんだ。
この辺だとは思ってたんすけどぉ、ヒトの街は小難しくっていけねぇや、と何やら流暢に喋りながら飛んでくるカラスに見覚えなんてもちろん無い。空なんか見上げるんじゃなかった──と思いながら、俺はとうとう意識を手放した。

お題・空を見上げて思うこと

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