ひろちゃん

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9/14/2024, 1:11:59 PM

ススキの茂みの下で
鳴いていたキリギリス
横たわったままで

命が燃え尽きるまで
それでも鳴き続ける
最後の叫び

僕は知っていた
馬鹿にされていたことを
自業自得だと

好きで鳴いているわけでもないんだけれど
楽に生きてきたわけでもないんだけれど
それでも言い訳をする必要はないだろう
墓場まで持っていくことが結局一輪の花のように
美しいと思うから

9/13/2024, 10:10:00 PM

犬を連れて外へ出る
まだ暗い仄かに明るい
夜明け前の一瞬に
一人と一匹は深い息をした

まるでそれが合図であったように
天は色を染めながら
影を落として存在を
浮かび上がらせていくのだろう

蝶が来て花に止まる
空を川鵜が飛んでいった
光の中を想いながら
そろそろ帰ろうと促した

僕は家のドアを開け
ただいまと一言呟いてみる
靴がひとつリードがひとつ
水を入れてコーヒーを沸かす
そしていつものように今日がやって来る

9/12/2024, 1:28:05 PM

白い砂浜に咲いていたハマボウフウ
日本海側の小さな砂浜で
君と砂を積んでは壊したあの頃

波の音だけ今も忘れない
まだ幼い僕たちの物語
君が笑えば幸せだった

来る日も来る日も繰り返し
何も変わらぬまま時は流れ
いくつもいくつも夢だけが
浮かんではまた消えた

本気の恋だった
それだけは間違いなかった
何年も忘れぬほどに
素足で駆けた傷だらけの恋だった
海の水に沁みるほど
深く刻まれた恋だった

9/11/2024, 8:32:50 PM

ただの紙切れに見えても
それは悪魔の紙切れ
命の炎はいつの日か
絶えるときが来る

僕は今日も両親に
ラインを送る
まるで当たり前のように
朝はやって来る

長生きなんかしたくない
そんな言葉を聞いても
僕には響かない
本当に本当に
時間が足りない

カレンダーそれは今日も
やって来る悪魔の紙切れ
数字は繫がって
いつか運命の数字が来る

9/10/2024, 3:16:59 PM

僕が大学生
京都から山陰道沿いに
大きな藁屋根の集落があった
それはとても異様な風景で
心に深く刻まれた

僕が子供の頃
自転車で坂道を下りていった先に
いつも水が溜まっている場所があって
覗き込むとミズスマシやタイコウチなんかが
たくさんいた

僕が小学校の
校庭で
逆上がりの練習をしていると
青と茶色の客車列車がディーゼル機関車に引かれて
通り過ぎていった

友達とプールの帰り道
駄菓子屋の店先で
かんとだきを買って食べながら歩いた
僕はとても日焼けして
クロンボ大会にクラス代表で出た

商店街の魚屋の
店先にドジョウが
泳いでいた
食べてみたかったけど
うちの親はそのドジョウを水槽に入れた

喪失感
そんなものはないけれど
色々な思い出がまだまだ眠っていると思う

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