「やぁやぁ真人(まひと)クン~✋」
手を上げて軽く走ってきたのは少し疲れた顔をした陽太(ひなた)だ。
「なんでこっち来たんだよ」
「いやぁーちょっと疲れたから休憩がてらに」
ぼけっと立っていた真人の隣に当たり前の様に立った。
「でもすぐあっち行けるよな」
「真人もきっと行けるよ」
「俺は元から居るから戻れないんだよ」
「えー悲しい😢」
「まぁ俺の分まで頑張ってくれよ」
そう言って軽く笑うと陽太は「よっしゃ陽太クンいっちょやったるで~」と軽く肩を回した。
「あ、来た」
「はい、いってらー」
陽太は味方からボールを受け取る。
「佐々木ぃ!!食らえッッ!!!」
振り上げられた腕を勢いよく振り下ろすと、とんでもない速さで佐々木に向かってボールが飛んで行った。
「ギャアッ!!!」
バゴンッと音を立てて佐々木の肩にボールが当たった。
「いってぇ!次俺陽太当てるから!!」
「当てれるものなら当ててみな!!」
じゃあ、また!と陽太は真人に手を振る。
「真人も頑張ってこっち来てね!!」
「だーかーらー俺元々外野だから戻れないって!」
話聞けよ!と戻る陽太の背中に向かって言い放った。
お題 「束の間の休息」
出演 真人 陽太
「真人(まひと)~アイス買ってこ~」
そう言ってコンビニを見る陽太(ひなた)。
「悪。金欠」
「マ?」
「ま。あんな頻繁に食ってたら、金欠なるだろ」
真人は悔しそうに「金がねぇ...」と呟いた。
「じゃあ俺のやつ半分あげる。二つに分かれるやつとかあるじゃん?」
「おま、そこまでして食いたいのか」
「ノンノン真人くん。俺はそこまで食い意地無い」
コンビニに入り、陽太は目当ての二つアイスを探す。真人は、ぼけっとそんな陽太を見ている。
「じゃあなんでそこまで食いたいわけ?陽太ってもしかしてアイスマニアだった?」
「発想が面白いね真人クン。アイスマニアは考えてなかったよ」
お、見っけ~と陽太はショーケースを開けてそのままレジへと持っていく。
「...やっぱ俺も食うんだし払う」
「はい駄目~真人は払っちゃ駄目です~残念でした~俺に奢られてくださ~い」
陽太はササッと会計を済ませてしまった。
二人は土手に座って、夕日を眺めてアイスを頬張る。
「うんめー」
「...なんか悪いな」
「悪くなーい」
「...でもなぁ...」
食べてはいるが、浮かない顔をしたままの真人に陽太は言う。
「じゃあ真人クンが大学生になって、バイトして、金銭的余裕ができたら!...奢られてあげるよ?」
「奢ってよ、とかじゃなくて奢られてあげるかよ」
「だって~真人は俺のワガママに付き合ってくれてるんだから、このくらい当然なんだけどね」
「ワガママじゃねぇけど」
「え?」
「俺はそれに好きで付き合ってるわけだしなぁ」
もにょもにょとアイスを食べる真人を見る。
「ほ、へぇふぅん?」
「なんだその返事」
「真人って意外と緩いんだなぁって」
「緩い...?」
「わは」
黄昏時にアイスを食べる二人であった。
お題 「たそがれ」
出演 陽太 真人
「俺らそろそろ帰るね」
そう言って拓也(たくや)が準備すると玲人(れいと)も同じく立ち上がる。
「今日はありがとう、楽しかった」
「ううん、私こそ物が少なくてごめんね」
「普段と違うからそれも楽しかったよ」
玲人はさりげなくフォローを入れた。
「...じゃあ私もそろそろ...」
葉瀬(ようせ)が立ち上がろうとした時、不意に秋(あき)に袖を掴まれる。
「あ...葉瀬ちゃんには残ってほしいな...」
二人にしか聞こえない距離で秋は告げる。葉瀬も何かを感じ取ったのか何も言わずに頷く。
「葉瀬準備できたか?置いてくぞ」
「あー、ごめん。私たち今日お泊まり会するから帰んないわ」
「えーいいなー俺もしたい」
「女子限定なので~?今日は駄目~」
また今度やろうね、と葉瀬は拓也に言う。
二人をドアまで見送ると、葉瀬は部屋に戻って
「それで、どうしたの?」
と問いかけた。
「えっと...葉瀬ちゃんは拓也が好きであってるんだよね?」
「うん、それがどうした?」
「あのね____...私も好きなんだ」
「......誰が?」
「拓也のことが、私も好きなの」
空気が止まる。秋は苦しそうに葉瀬を見る。
「葉瀬ちゃんは拓也が好きでしょう?言っておかないとと思って」
「そう...」
「...ごめんなさい、葉瀬ちゃんが先に好きになったのに......」
俯いて、今にも泣き出しそうだ。
「本当に、ごめんなさ...」
「いいよ」
「そうだよね......え?」
「ん?」
「え、えっと?え?」
「...ごめんね、秋。騙してて」
葉瀬は申し訳なさそうに言う。秋は戸惑うばかり。
「その...拓也が好きって言うのは、嘘なんだ」
「...どういうこと?」
「...あ、秋に諦めないでほしくて...」
「?」
「だ、だって!!このままじゃ...!」
今度は葉瀬が泣きそうになる。
「お、落ち着いて葉瀬。私なら大丈夫だよ」
「嘘ついてごめん...」
「とりあえず、葉瀬は拓也が好きなわけじゃないんだね」
「うん...」
「...そっかぁ...良かった...」
ごめんねぇ...と抱きついて再び葉瀬は謝る。
「大丈夫だよ。ありがとう葉瀬ちゃん」
「本当ごめん...」
「もう止めてよ。私も自覚できたんだし、ね?」
そう言うと落ち着いた葉瀬は肩に頭をぐいぐいと押し付けた。
「...なら、拓也について聞いてもいいよね?」
「えっ!?」
「大丈夫~私も話すから」
「え?」
「私は、玲人が好きなんだ」
「...えー!?」
「うふふ」
二人のお泊まり会はまだ始まったばかり。
お題 「別れ際に」
出演 秋 葉瀬 拓也 玲人
皆さん少し寒くなって秋に近づいてきましたね。さて、そんな皆さんに質問です。
Q,秋と言えば?
「秋と言えば?...紅葉だね!もうそれしか今出てこないよ!...読書?あー確かに」
「秋と言えば...?えー......読書とか?ほら、読書の秋って言うじゃん。え、何、紅葉?......あー...」
「え、可愛いでしょ。他?んー......優しいし、あとは......読書?あぁ、それもある」
「秋と言えばやっぱり、読書だね。本屋さんに新しい本沢山並ぶから嬉しいよ」
「秋と言えば!!芸術の秋🍁🎨!!俺の芸術を世界に広めちゃうね!!」
「スポーツの秋かな。え?あいつ芸術って言ってたの?あいつが?本気で言ってる?」
「秋かぁ...焼き芋とか美味しいよね。あ、じゃあ食欲の秋だ」
「秋......われは秋やすみがほしい!なんで春と夏と冬はあるのに秋はないだ!!秋は!!まぁ宿題でないし、いいや」
皆さんご回答ありがとうございました。
あなたの秋はどんな秋ですか?
お題 「秋🍁」
出演 葉瀬 玲人 拓也 秋 陽太 真人 舞 きらり
少し寒くなった頃、秋(あき)は休日に好きな作家さんの新作を買いに来ていた。
(よかったー...買えた)
そのまま他の作家さんの本を見て歩いていると、ガラス越しに拓也(たくや)の歩く姿を見つけた。
(あ、拓也...)
じっと見ていると、彼と目があった。手を上げる彼に軽く手を振り返す。
拓也は駆け足で本屋へと向かって来た。
「やほ、秋」
「偶然だね」
「なんか買ったの?」
「新作だよ」
へー、とあまりピンと来ていないような顔をする。
「...俺もなんか読もうかな」
「それなら、これとかいいんじゃない?」
「お、それ面白そう」
拓也は秋に薦められた本を手に取る。
「今度読んだら感想言っていい?」
「うん。あ、でも私も読みたいから読んでからでもいいかな...?」
「全然待つ」
「良かった」
秋は拓也と会話しながら、この間の葉瀬(ようせ)との会話を思い出す。
『秋にその気が無いなら、ベタベタしてもいいよね』
(............)
秋は葉瀬の言葉を思い出して、拓也の裾を摘まんだ。
「秋?」
「......これから何か予定ある?無かったら一緒にカフェとか行かない?」
拓也は目を見開いてキラキラさせる。
「え、うん。行く」
「...じゃあ先に本買ってきていいかな?」
「俺も行く」
秋は拓也がよい返事をしてくれたことに嬉しくなって、少しだけ安心した。
お題 「秋恋」
出演 秋 拓也 葉瀬