hot eyes

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7/11/2024, 9:59:48 AM

「うっ.........わ」

目が覚めると彼女の顔が目の前にあった。

パッチリと目は閉じられ、ピクリとも動かない。

「............」

昨夜は俺が寝るまで帰ってこなかったが、いつの間に帰ってきたのだろう。

別に浮気じゃないのは知ってる。この時期になるといつも零時を回って帰ってくることが多い。メイクをして隠しているが、目の下に隈が出来てる事も知ってる。

本人はバレてないつもりらしい。

「.........よいしょっ」

俺は起き上がって彼女をベッドの中央に寄せる。

彼女が起き上がる前にでも朝食を作っておいてやろう。

お題 「目が覚めると」
出演 玲人 葉瀬

7/7/2024, 8:28:22 AM

ふわふわの茶髪。

パッチリ二重に長い睫毛。

少し焼けた薄小麦色の肌。

俺を呼ぶあの立つ声。


「真人(まひと)~」


線路の向かい側で、入道雲を背に立っている。

ゆらり、ゆらりと上で振られる右手。

俺はゆったり、ゆったり歩く。


「真人~」


暑い。

ジィィィ、ジィィィと蝉が鳴く。

顔からポタポタと汗が垂れる。

シャツが背中にくっついて気持ち悪い。



「ま ひ と~」



逆光で顔がよく見えない。

でも笑ってる。


「...ひな」


た。

俺がそう言おうとした時、ゴウンッ!と目の前に電車が来る。俺は驚いて思わず後ろによろける。そんな俺を気にもせず、ガダタンッ、ガダタンッ、ガダタンッ、と走り抜けていった。

その勢いに、ぺたん、と思わず尻餅をつく。

.........ンカンカンカンカンカンカン

近くで踏み切りの音がする。電車が走り抜けるとその音は止み、スッと踏み切りは上がる。

その先に、彼の姿は無かった。



(...あぁ、そうだった。彼は、もう居ないんだった)



俺は立ち上がって砂を払い、程なくして帰路へとついたのだった。

お題「友だちの思い出」
出演 真人 陽太

7/1/2024, 9:00:00 AM

俺は二人の話をぼんやりと隣で聞いていた。

思い返すと、この二人の事を深く考えた機会は無かったな、と。

窓の外には青空が広がっている。夏の空だ。

(...懐かしいな、この時代は確か他にも...)

思い出に浸っていると、目の前に、はらり、と少し太めの赤い糸が落ちてきた。
(.........引けと?)
俺はその糸を、くんっ、と引く。
「......何も起きね」

すると突然隣の座席の天井がパカッ、と開き、ガラガラと何か落ちてきた。

「ええぇぇぇ、聞いてない聞いてない」

俺は落ちてきた物を見る。

「......?メロンパンと、ドーナツと、ナッツと......え、横長のハムスター...?」

俺は困惑した。なんでこんな物が落ちてきたのか。
「食べ物か...?いやなんで」

「いってぇぇ!!!」

「喋ったッ!!?」
むくり、とメロンパン?が起き上がると一言叫んだ。
「アニキ~大丈夫っすか~?」
「あぁ...石だから大丈夫...」
(あの横長ハムスターは石なのかよ)
俺は心の中で突っ込んだ。
「二人は大丈夫...?」
「うん!いや~ビックリしたよ~」
「僕もちょっとだけ...」
ドーナツ?とナッツ?が起き上がってメロンパン?と横長ハムスター(石)に話していた。

(...あ、うわ、懐かしい...!)

俺は四体の姿を見て、昔を思い出した。

(...あれは、俺が初めて考えた...)


そうか、四人もこの列車に乗ってたんだな。



七月が始まる。

じゃあこの四人の事を、今月は書いてみようかな。


お題 「赤い糸」

6/29/2024, 9:10:43 AM

暑い。

今日はその一言に尽きる。

店内は涼しいけど一歩外に出たら灼熱の暑さ。

本当、なんでこんなに暑いの。

「氷華(ひょうか)、お疲れ様。麦茶いれたから飲む?」
「飲む...」
私は店先に打ち水を撒いていた手を止め、バケツとホースを片付けた。
「ありがとう氷華...ごめんね、暑いのに」
「大丈夫...高校の時の部活に比べたら全然だよ...」
「そ、そっか...」
私は手をパタパタとさせ、麦茶の入った硝子コップを手に取る。
ぐびっ、と一気に煽った。
ごくんっ、と喉を伝う冷たさが気持ちいい。
「...っぷはぁ~!美味しい!!」
「あ、あとこれも」
そう言ってお姉ちゃんは私の手に飴を握らせる。
「塩分補給も忘れずにね」
そう笑ってお姉ちゃんは裏へと回っていった。

私はその飴を口に放り、店内の作業へと取りかかった。

お題 「夏」
出演 氷華 言葉

6/27/2024, 3:52:57 PM

今日、優しそうな男性が勿忘草を買っていった。

花束として包んでいる時勿忘草から、どこいくのー?と声が聞こえた。

正確には私の妄想の中の声なんだけどね。

私はその声にそっと、彼の幸せの為に彼の元へ行くんだよ、と言った。

こわいよー、そんな声も聞こえた。



買われていった花の運命を私は知らない。

どうか彼やその幸せの元で、安らかに過ごすことを願っている。

お題 「ここではないどこか」
出演 言葉 玲人

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