俺は二人の話をぼんやりと隣で聞いていた。
思い返すと、この二人の事を深く考えた機会は無かったな、と。
窓の外には青空が広がっている。夏の空だ。
(...懐かしいな、この時代は確か他にも...)
思い出に浸っていると、目の前に、はらり、と少し太めの赤い糸が落ちてきた。
(.........引けと?)
俺はその糸を、くんっ、と引く。
「......何も起きね」
すると突然隣の座席の天井がパカッ、と開き、ガラガラと何か落ちてきた。
「ええぇぇぇ、聞いてない聞いてない」
俺は落ちてきた物を見る。
「......?メロンパンと、ドーナツと、ナッツと......え、横長のハムスター...?」
俺は困惑した。なんでこんな物が落ちてきたのか。
「食べ物か...?いやなんで」
「いってぇぇ!!!」
「喋ったッ!!?」
むくり、とメロンパン?が起き上がると一言叫んだ。
「アニキ~大丈夫っすか~?」
「あぁ...石だから大丈夫...」
(あの横長ハムスターは石なのかよ)
俺は心の中で突っ込んだ。
「二人は大丈夫...?」
「うん!いや~ビックリしたよ~」
「僕もちょっとだけ...」
ドーナツ?とナッツ?が起き上がってメロンパン?と横長ハムスター(石)に話していた。
(...あ、うわ、懐かしい...!)
俺は四体の姿を見て、昔を思い出した。
(...あれは、俺が初めて考えた...)
そうか、四人もこの列車に乗ってたんだな。
七月が始まる。
じゃあこの四人の事を、今月は書いてみようかな。
お題 「赤い糸」
7/1/2024, 9:00:00 AM