天音

Open App
6/16/2024, 12:02:44 AM

大好き。読書が大好きだ。

中学の時は本の虫って呼ばれていて、高校に入って
忙しくなってからも必ず一冊は持ち歩いている。

それも時間がないから短編集ばかりだけど。

今リュックに入れてるのは、岩波文庫の
『ことばの贈り物』だ。これは人を選ぶかも。

本が好き。
私が求めた分だけ、私が望んだペースで喋ってくれて。
そして、私が期待した以上の体験をくれるもの。

ねぇ、知ってる?
本屋ほど人口密度が高い場所ってないんですよ。
なのに、あんなにも静かに開かれるのを待っている。


そんな私が猛烈にハマったのは、最近のものだと
白河三兎 著『私を知らないで』

表紙だけでもいいから、見て欲しいな。
好きな人にはたまらないと思うから。

ほら、行っちゃえよ。


#27 好きな本

6/15/2024, 7:40:48 AM

あの夕焼けはどこへ行っちゃったんだろう。

って、夏になるといつも思う。もう既に暑すぎる気温に
配慮してなのか、空は燃えなくなっていくね。

想像しよう。
19時手前。やっと辺りが薄暗くなる。明るい黄色と
薄いピンクと、それから淡いオレンジでぼかした空。

生ぬるい風を添えれば、夏の気配はブレンド完了です。

ねぇ。
夜が来てるってことに気づかないまま、話をしようよ。

この時期の異世界感がたまらなく好き。
とか思いながら、勉強机に向かう日々です。


#26 あいまいな空

6/3/2024, 2:50:23 PM

やってみたかったんだよね、と明るく言って笑ってみた。

嘘じゃない。この変化を楽しむ気持ちは、自分の心の
どこかには確かにあった。
事情を知る友達は「おぉ、そっか・・・」と言って、反応に困っていたけれど、それでも本心から褒めてくれた。

     「似合ってるよ、ショートヘア」


美容院の予約をしたのは、告白する一週間前でした。
1コ上の部活の先輩。もう引退していて、直接会っても
ゆっくり時間は取れないから、通話で言うことにした。

高校生の歳の差は大人のそれとはワケが違った。
それでも正直、やれるだけのことはやったね。いわゆる「アプローチ」ってやつ。機会があれば話しかけて、LINEでもやり取りした。誕生日プレゼントを渡したり、部活後に本屋に行ったり。仲良くなるのに、そう時間はかからなかった。
私と先輩は、不思議と会話の波長が合ったから。

片想い歴、一年と少し。部員のほとんどは私の想いに
気づいていたけれど、先輩はバカみたいに鈍感でした。

ぼおっとしているように見えて、実は話を聴いていて。
人に話しかけるのは苦手だけど、話してみるとユーモア
ある秀逸な返しで楽しませてくれて。
気が抜けるくらい楽天家だけど、人の機微に気づく。

とても優しいひと。ずるいひと。ひどいやつ。

振られるだろうな、って分かってても告白しようと
思ったのは、先輩があまりにも能天気で、私ばっかり
必死なのに、何だか腹が立ってきたからです。

せめて知っておいてほしかった。先輩がどれだけ
素敵な人で、私が一緒にいてどれほど楽しかったのか。
あと、記憶に残るような人になりたかった・・・ってのも。
ちょっとだけ。

美容院の予約をしたのは、告白する一週間前でした。
初めてのショートヘアは色んな人が褒めてくれて、いい
気分転換になってくれた。先輩にも言及されたのは、
予想外だったけど。誰が原因だと思ってるんですか。
ありがとう。あなたを好きになって本当に良かった。

うん。
私はこの恋を「失」ったとは言わないかな。
先輩のことは今でも普通に好きです。でもそれは、もう二度と観ることのない好きな映画に似ている。綺麗に
終わったものに対して欲は湧かない。

ただ「ほんとうにばかな人」って。そう、愛おしそうに笑ってしまうだけ。それだけ。


#25 失恋

5/26/2024, 8:08:09 AM

さみしさ、悲しみ、憂鬱以外の言葉で雨を語りたい。

雨の日のカフェ。図書室。リビング。

思えば雨というのは、室内で過ごす私たちを正当化してくれる。外の世界に関係なく、私は自分の時間がある。
安心するのは、その事実に向き合えるからでしょうか。

でも、雨の日にわざわざ外に出るのだって素敵だ。
世界に抗ってる感じがする。

傘を持ってない「大切さん」に、そっと傘を差し出して相合傘をする。青春ですね、それも。

実は一方がこっそり鞄に折り畳み傘を入れてても、二人とも長傘を持ってても素敵です。ただ近くにいたいからという理由で、お互いに少しずつ濡れることを選ぶなら
きっとその冷たさも愛せるね。

でもどうか、それだけを優しさとは呼ばないで下さい。

傘を持ってない人の隣に立って、自分の傘を閉じて一緒にびしょ濡れになって歩く。そういうあたたかさを、
私はもっと素敵だと思うよ。傘は「差し出した」時点で
相手とは平等でなくなってしまうから。

雨天中止のイベント、低気圧による酷い頭痛、つんざくような雷の音、纏わりつくような重たい湿気、水気を
吸う新しく買ったお気に入りの服。

雨を嫌いになる理由は充分過ぎるほどにあるね。
普段よりも世界が狭くて、人口密度が高くて、空間に
閉じ込められちゃうからこそ、独りだとよっぽど辛い。

このままずっと雨が降り止まなければいい。
そう思えるほど、近くにいることが心地よい相手。

そんな人に出会えるといいな。それならきっと、
虹だっていらないのに。


#24 降り止まない雨

5/19/2024, 1:58:15 PM

会社の人事部はお父さんを振り回している。

どうやら今年で19年目になるという海外赴任。
寂しがりやのお父さんにくっついて、私たち家族も大変国際色豊かな人生を送ってきました。

「転勤族」を自称できる程の頻度ではないとはいえ、
今までに国は3回変わった。

うちは赴任期間も次の赴任先さえも全く決まっていない
不安定な駐在さんだ。ある日いきなり3ヶ月後に海を渡ることが決定し、現地校に転入することになる。

それまでの人間関係と環境への慣れ諸共リセットされる理不尽も、生まれた時からずっと言い聞かせられてきたことだから特に不満には思わなかったな。

でもそれは何も私たちだけじゃない。海外にいる周りの日本人だって、殆どが駐在さんだった。
・・・とまぁ。そんなこんなで、
日本人学校は転出入が激しいから、人間関係はコロコロ変わった。いちいち手続きが大変ということで、制服も無い程に。日本に帰国する子、現地校に転校する子、
また他の国に引っ越す子。入れ替わり立ち替わりだ。

突然の別れに関してはエキスパートです、私。
定期的に環境が変わることを見越して行動するから、
「距離の詰め方や感覚がバグってる」とも言われるね。

エルフなんかの長命種から見ると、短命種がとっても
生き急いでいるように見えるのとおんなじなのかも。

別れの辛さに麻痺してきた自分がいる。
最初からそういうものだと理解した上での行動と思考。

いつだって別れはさびしいよね。悲しいよね。
でも、その感情を知っているからこそなんでしょうか。
相手の好きなところや、その時の自分が抱いた感情は
素直に口に出す。遊びの提案も積極的にしてしまう。唯一変わらない人間関係である「家族」との絆が深くなる。
世界の広さを知っている。物理的距離が近いことの
ありがたみを痛感している。別れはイコールすべての
終わりじゃない、なんてとっくの昔に悟った。

でもね、覚えてる。もう私と同じ時間を共有していない皆のこと。出会いと別れがどれだけ積み重なっても。

みーんな、私の「大切さん」だからさ。
ごめんね、許してね。私のこの在り方を。

いいなぁ、幼馴染とか。心底羨ましい。
別れを意識しないくらいになるまで、ずっと一緒に
居た他人がいるって、どんな感じなんだろう。

ダメだな。想像できないや。


#23 突然の別れ

Next