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8/21/2025, 10:57:00 AM

夕暮れが迫る運動場

少しづつ人数が減ってゆき、ボールを追うのは数名になる。

小石の影がそばかすのように土の上に散らばって、最後のボールをゴールに蹴り込む。
この運動場とも今日でお別れだ。

誰かと別れの会話もなく、いつものように日が暮れた。

こんな終わり方の方が僕は好きだ。

3/6/2025, 2:56:35 PM

風が運ぶもの

痛みという厄介なものが毎年、風に運ばれてくる。

30年ほど群発頭痛という痛みに見舞われてきた。

右目の奥が、抉られるような鋭い痛みだ。

1年の内の2か月ほどだが、毎日1時間ほど強烈な痛みが襲ってくる。
その1時間が過ぎるとなんでもなかったかのように痛みが消えてゆく。

1年間で1か月か2か月くらいの期間にまとまって集中砲火を浴びせるように襲ってくるので群発頭痛と呼ばれている。

世界三大激痛の1つで、自殺頭痛とも呼ばれている。

通常の頭痛とは比べ物にならない強烈な痛みだ。

高濃度の酸素吸入で少し楽になるということだが、私は経済的な余裕がないので耐えるしかない。

痛みが始まると鎮痛剤などでは全く効果のない厄介な頭痛だ。

しかし、1時間耐えれば楽になるということが体験的にわかっているので我慢出来る。

この群発頭痛で学んだことは、痛みのない時間がありがたいと思えるようになったことだ。

1時間耐えた後、痛みが消えてゆく瞬間を迎える時の開放感は言葉にできない。

人間にとって肉体的な痛みは辛いものだが、痛みが与えてくれるプレゼントも確かにある。

ゼロを喜べる能力だ。

金を儲ける喜びよりも借金を返せた時の喜びの方が大きいと思う。

快楽や快感よりも痛みや苦痛からの解放の喜びの方がはるかに大きい。

質が違う喜びだ。

痛みがなければこの喜びを味わうことはなかった。

私はゼロを喜ぶ能力を与えられたことを心からありがたいと思っている。






1/18/2025, 10:02:44 PM

ビードログラスの青を見つめて

ビードログラスの青を見つめていると、日常から離れてしまうような不思議な瞬間がある。

夕暮れの琥珀色とビードログラスの濃い青には魔法が宿っているのかもしれない。
脳内のどこかが共鳴してしまう。

家から電車で30分ほどで海が真正面に見えるカフェがある。

そこで夕暮れの海を見ながら水割りを飲む。

バックから小さなビードログラスを取り出してそれを眺めたり、夕暮れの海を見たり、約一時間、長居はしない。

暗くなりかけた頃、店を出て寄り道せずにそのまま電車で家に帰る。
車で海岸沿いを走るのも好きなのだが、水割りを飲みたいのでいつも電車で来る。

夕暮れの琥珀色とビードロの青を一杯の水割りで脳に取り込んでゆく。

深い青色のビードログラス越しに夕日の海を見る時手のひらに宇宙が舞い降りる。

至福の時だ。
裏切られたことは一度もない。



12/13/2024, 11:16:58 AM

小さな体が、こんなに軽くなってしまった。

愛情を注いで育てたはなちゃんが、死んでしまった。

カゴの中で右の羽を広げてうつ伏せで死んでいた。

足が痛くて辛かったね。
もし人間の言葉が喋れたら、なんと言ってたのだろう。

羽を拭いて、お尻も拭いて、爪を切ってあげた。

何度も何度も小さな口ばしにキスをした。
いつもの暖かい口ばしではなかった。
冷たくなった口ばしに別れのキスが止められない。

君を庭に埋める時、本当に別れがきてしまったんだと悲しみがこみあげた。

君たち動物は死の意味を理解してたのだろうか?

嘆きや悲しみを人間のように感じていたのだろうか?

僕との別れを悲しんでくれたのかなあ。

今どこにいるのかなあ。
どこにもいないのかなあ。

真っ白な体に土を尻尾の方から丁寧にかけていった。

そして体の中心まで土をかぶせた。

最後の時が来た。顔に土を被せる時、可哀想で可哀想で仕方なかった。

もう死んでいるのに、土で息が苦しくなってしまうと思ってしまい、悲しくて苦しくて逃げ出したい気持ちだった。

雨が降ったらいやだろうな、土が泥になって気持ち悪いだろうなと考えてしまう。

痛い体で我慢して必死で僕のところに飛んできた姿が忘れられない。

12/12/2024, 10:40:30 PM

古い心が新しい心に変わる時。

人間として恥ずかしいことだけを、恥ずかしいことにすると決めた。

カッコ悪いことは恥ずかしいことではない。

上手く出来きないことは恥ずかしいことではない。

自分だけ理解できなくても恥ずかしいことではない。

下に見られても恥ずかしいことではない。

出来ることを出来る範囲で自分のやり方でやっていく。

それ以外はかなぐり捨てる。

たまにやけになったり、ふて腐れたりしても、そんなことがあるのは正常な人間として当たり前のことだと考えることにする。

神はストレート勝ちを許さない。
負けのない人生は悪臭を放つ人間を作り出すからだ。

夢は叶えるためにあると言ってた人がいた。

同意しない!
絶対同意しない!

夢は叶えるためにあるんじゃない!!

夢は生きるためにあるんだと決めている!!

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