ヨルガオ(短編小説)

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9/8/2023, 4:01:32 PM

「君ってさ、いっつも私のこと見てるよね」

「ねぇー、無視しないでよ」

「悲しいじゃん」

「せっかく話しかけてやってるのにさ」

「ていうか、忘れてないよね?」

「…ふふ。焦りすぎ」

「めっちゃ鼓動速くなってるよ」

「…夜も眠れてないんでしょ?」

「そりゃそうだよね」

「人、殺してるんだから」

「早く掘り起こして、自首してよ」

「言っとくけど私、」

「まだ成仏する気、無いからね」

「ずっと見ててあげる」


ー胸の鼓動ー

9/7/2023, 10:17:36 PM

クルクルと世界が回っている。

…いや、揺れているのが正しいか。

曲がっているのかもしれない。

とにかく、そんな感じに世界が動いてる。

体が重くなり、熱くなってきた。

これは、何か起こる気がする。

踏ん張りながら進もう。

自分の家が見えてきた。

もう少し…もう少しだ。

一歩一歩が徐々に重くなっていく。

はぁ…はぁ…

息も荒くなっていく。

ガチャ

玄関を開けた俺は

踊るように、そして気を失うように

ベッドへと倒れ込んだ。

風邪を引いたらしい。


ー踊るようにー

9/6/2023, 3:42:42 PM

同窓会の飲み会。

ずっと気になっていた彼と隣。

やばい…心臓が破裂しそう。

時折見える彼の八重歯が

いつにも増して愛おしく感じた。

「ね、〇〇もそう思うよね?」

『え…?あ、うん!』

「ほら〜。だから言ったろ??」

久しぶりに呼び捨てで呼んでくれた。

やっぱり私、まだ彼の事好きなんだな。

「…今何時か分かる?」

『あ、えっと……11時37分ぐらい』

「あー、じゃあ12時ぐらいに解散でいっか」

あと23分。

あと23分で、彼がいなくなってしまう。

あーあ、何時かなんて言いたくなかったのに。


ー時を告げるー

9/5/2023, 3:48:40 PM

「君、いつも貝拾ってるよね」

当時5歳の私に、男性は話しかけてきた。

『うん!だって貝殻さん綺麗なんだもん』

『でっかいの探してるの』

「へー、そうなんだ」

「お兄ちゃんも一緒に探してもいい?」

『うん!!いいよ』

「……あ、おっきいのあったよ」

『でも待ってる貝殻より小さいー』

『もっと大きくて綺麗な貝殻がほしいー!』

「わかったわかった」

「…じゃあお兄ちゃんについておいで」

「こっちにおっきい貝殻あるから」


ー貝殻ー

9/4/2023, 2:58:31 PM

『もうすぐだね』

「うん」

『…怖くないの?』

「そりゃあ、ちょっとは怖いけど…」

「それよりも楽しみが勝つね」

「早くいろんなものを見てみたいって」

「君が言ってた青い空とか緑の木とか」

「どんな世界が広がってるのか…楽しみ」

『…そう』

『君らしい』

「えへへ」

「……それじゃあ、行ってくるね」

『頑張って』

彼は、自身のきらめきを取り戻す為に

手術室の方へと足を踏み込んだ。


ーきらめきー

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