あなたがいたから
そう聞いて、良い意味として捉える人は一体何人いるのだろうか。
あなたがいたから助かった。
あなたがいたから生きることが出来た。
こう捉える人はきっと多数いる。
けど、こうも考えてほしい。
あなたがいたから助からなかった。
あなたがいたから生きられなかった。
こんな意味の時あるから。
……理解して欲しかったね。
ーあなたがいたからー
黒板に書かれた落書きの相合傘。
そこには私と彼の名前が。
男子たちが冷やかしで書いたのだ。
私は恥ずかしさで前を向けなかった。
「お前ら、何やってんの」
彼が笑っている男子たちに一言。
『相合傘だよ。お前らってそういう関係だからな』
くすくすと笑う。
ああ…。もう、早く消して。
「……カッコ悪。てかこれ、書き方ちげーし」
そういうと彼は、傘だけを消し
私にだけ傘をさすように書いた。
『お前、相合傘じゃねーじゃん』
「は?これが本当の相合傘だよ」
「2人でさしたら絶対雨で濡れるだろ」
「男が女の子に風邪ひかしてどうするんだよ」
…彼らしい。
…そういう貴方が好きなの。
ー相合傘ー
「私は…皆んなに言いたいことがあるー!!!」
『なーにーー!?!?』
この学校恒例の行事。
それは屋上から自分の思いを全校生に向けて叫ぶというもの。
私はこの日を楽しみにしていた。
この瞬間がたまらなく好きだからだ。
「……私は………」
「ここを、飛び降ります!!!!」
先生や生徒の雰囲気がガラッと変わった。
この瞬間が……この瞬間が1番好きだ!!
好奇心が不安へ…そして恐怖に変わるこの瞬間が!!
『早く屋上へ人を向かわせてください!』
先生が慌てている。
そりゃそうか。この屋上には今、私しかいないのだから。
……さぁ。
皆んなの記憶に残るために、残酷な姿になってあげるからね!!
ー落下ー
ふふ。
来てくれたのね。嬉しい。
………。
あら……。動かないでよ。
変な所に刺さったじゃない…。
まあいいわ。
運の良い貴方に教えてあげる。
一年前、私が見つけた青い本。
あれには貴方の未来が書かれていたの。
何日に誰が何をするかまで、事細かく。
……ごめんなさいね。
貴方がここに来るのは一年前からわかってたの。
これでやっと貴方を私のものにできるわ。
この日をずぅっっと待ってたの。
ー未来ー
2023年1月17日
今日は友達3人と遊びます。しかし、その帰り道で転びます。
2023年2月14日
今日はA子からチョコを貰います。とても楽しい1日でしょう。
2023年3月10日
今日は先輩の卒業式があります。きちんとお別れを言いましょう。
2023年4月16日
今日は部活で帰りが遅くなります。暗いので田んぼに落ちます。
2023年5月2日
今日はA子ちゃんの誕生日です。A子ちゃんにはスケッチブックを渡しましょう。
2023年6月15日
B子さんに本についての話をされます。落ち着いて聴きましょう。
2023年6月17日
図書館へは行かないようにしましょう。
………。
あら。ここで途切れてるわ…。
…なるほどね。この日に私は……。ふふふ。
楽しみだわ。この日が待ちどうしい。
ー1年前ー