「やりたい事をしなさい」
そう言われたから、親の命令に今まで従ってきた。
周りからは
「したい事がないのか」
「自由なんだから、なんでもしたらいいのに」
そう言われてきた。
自由だから、親に従う。
自由だから、自分の好きな事をする。
親に従って何が悪い。
私にとって親が1番なんだから
自由なんだから
私の好きな事をさせろよ。
自分の自由を人に押し付けるな。
ーやりたいことー
私はいつも貴方の声で目を覚ます。
「おはよう」
その優しく包み込むような声が
私は好きだった。
でも、その「おはよう」が私だけの物では無いと
あの時知ってしまった。
貴方は私より、あの子の事が好きなのね。
悔しくて、悔しくて、仕方なかった。
貴方を私だけのものにしたい。
………。
ねぇ、
また「おはよう」って言ってよ。
返事して、朝日くん。
ー朝日の温もりー
「じゃ、私こっちだから」
『あ…。うん。またね』
彼女の言葉を聞いて、少し迷った。
一緒に帰りたいと言うべきか。そうでないか。
だがもう遅い。
彼女はもうすでに横断歩道を渡っている。
また、明日誘おう。
そう思った瞬間、
ドンッッッッ!!!!!!
と、衝撃音が響いた。
振り返って真っ先に目に入ったのは
彼女だった肉の塊。
一緒に帰りたい。
そう言えば…そう言っていれば…。
彼女に触れた僕の手を、冷たい風が強く撫でた。
ー岐路ー
もう、終わっちゃうな。何もかも。
診断書を見ながら、私は思った。
私には時間がない。あと少ししか生きられない。
もっと生きたい。愛する夫と一緒に。
でもそんな思いは聞き入れてもらう事もなく、
ある日突然、神は私を殺した。
次に目を開けたら、天国にいた。
これで、夫は私に縛られずに自由に生きられる。
ホッとしたが、寂しかった。
そんな時、夫が目の前に現れた。
ここは天国なのに。なんで貴方が。
「え、もう来たの……。最悪」
貴方にはもっと生きてて欲しかったのに。
ー世界の終わりに君とー
俺の妻が死んだ。
ガンによって死んだ。
いつも大丈夫って意地張って
いつも謝ってばかりの妻が死んだ。
最愛の人だった。
お前を失った俺は、一体何を糧に生きていけばいいんだ。
芸能人?宝石?
お前以上に好きになる物なんてこの世に無い。
…死ねばお前に会えるか……?
………。
ここは……。
『え、もう来たの……。最悪』
…は?
お前は…俺が来て嬉しく無いのか?
愛していたのは俺だけだったのか?
…ああ、そうかよ。
俺もお前なんかの為に死んでしまって最悪だよ。
ー最悪ー