逆光の最中、自分では光源が見えない。
後ろから照らされているから眩しさはない、
影が長く前に伸びている。
前に行くやつがこちらを振り向くたび
その照らされた顔が明るくて、
ああ自分にはまだ無理だななんて思ったり。
でもそっち側に行ってみようかななんて思ったり。
順光にいる時あまりに見ている方向が眩しくて、
とてもじゃないけど直視が出来ないし、
目をふさぎたくなる。
反対側には背中側から光が差してるやつが大勢いる。
ああ、そっちに戻ってみようかななんて思ったり。
でも通過点、ここからまた頑張るかなんて思ったり。
「特別な夜って感じするね」
そんなこと言う君が可愛い。
君が隣にいてくれたら毎日が特別な夜なのに。
ぼんやり君との出来事を思い出しながら考え事をしている。
自分は生まれてこの方自分という人物とずっといる。
つまんねえなあ、暇だなあとか思う何の変哲もなかった過去。それもまた特別な夜を越えてきたから感じれたことだったのだろう。
誰かといると特別という言葉はすごく大切に聞こえるのに、1番近くの自分に対してこれまでそう思う回数が圧倒的に少なかった事に気がついた。
自分が自分として生きている事それだけでそもそも特別な事なのに。
意味なんてなくても十分なのに。
意味を考え続けてしまったり。
足るを知ればずっと近くにあるのに。
それでもずっと特別を求めてきた。
先に与える者になれたら解決する事を、
先に貰うことばかりを悩んでいた。
だんだんわかってはきたけれど、
それでも、それでも、君から特別って思われたいんだよな。
昨日送ったメール、君から返事はまだきてない。
ずいぶんのんびりした君のペースに自分はあたふたしてしまう。
ふぅと息を吐く。
今日は自分の事を思って過ごす、
特別な夜にしてみようかな。
物事を深く考えてしまう癖がある。
幼い頃の親と共生する為の生き方が癖になってしまったのだ。
言葉を事実としてではなく、本質や解釈を付け加えて相手の言葉をより一層理解してあげようとする自己犠牲精神。健全なコミュニケーションの中に自己犠牲はいらないと知ったのは25になってからだ。
それはそれは驚いた、自分がしてきた事がまるで無駄だったかのような、否定されたような、最初は理解できなかった、飲み込むのにすごく時間がかかった。
だけど全部が全部無駄ではなかった。私はそれをしてきたからこそ、他人の弱い所や隠している事に気づく事が出来る。
それを教えてくれたのは4個も下の彼、
21の若者のキレのある物言いにグサッとなる事が多い。
私は繊細な生き物なのだ。よしよし。とそっと心で自分をかわいがる。
自分より若い彼に言われるとまだまだ経験が足りないくせにという意地みたいなものと一緒に真剣にぶっ刺さっている自分がいる事にムッとする。
より若いとか、より大人とか "より"を付けて自分を下げなくていいですよ。とも言われた。グサッ。
日常的に話す機会が多いから他愛もない話からビジネスとか専門的な話もする。
ふとした時に彼が言った「過去にしぬほど悩んだ事がある。それに1人でしぬほど向き合った、どうせしぬなら変わってやると思った。泣いて泣いて、自分に怒った。」
初めて他人にこんな事言いましたよ。と少し息を大きく吸って吐く彼。
あぁ、彼の底はそこだったのか。
家に帰ってから本棚の端にあるノートを手に取る。
「私の中には小さな海がある。
潮の満ち引きのように心が揺らぎ、
時には大波がくる。」
中学の時に走り書きして残している時の情景を思い出す。ずっと1人で夜はずっと長かった。
読み返して中学生ながら生意気な気づきだな、ポエマーしてんなと思う。
海には底があり、そして波がある。
私の海の底に気づいた彼もまた、
別の海をもちその海の底をもっている。
彼の海の底を見せてくれた事が嬉しかった。
他人の海なんてわかりっこない、
わかりたくないと思っていたけれど、
出会うべくして出会ってくれたのだろう。
#海の底
私がもうちょっと生きようと思ったきっかけ
あの日道端で拾われた子
かまってほしいとニャーと鳴く
腕の中で眠る我が子
毎日同じ日の繰り返しの中に何を思うのだろう
小さな体でこんなにも愛をくれる
この子が生きる限りこの世界は私が守る
淡い空、静かな空気
意識がぼやっとして目を薄く開ける
私より少し大きなあなたの隣
ずっと夢を見ていたい