荏胡麻

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4/19/2026, 1:00:38 PM

あなたとの未来の行く末が見たい

4/15/2026, 1:43:05 PM

九頭玲央様

久しぶり。元気にしてるか?あの夜からもう4年経った。
早いもんだな。

あのときどうして縛り付けてでもお前を止めなかったのか、今でもずっと後悔してる。お前を一人にしたくなかった。玲央と一緒にいれたら吸血鬼でもなんでもいいって、本気で思ってるんだぞ。

今も玲央のことが心配で仕方ないけど、きっとどこかで生きてるって信じてる。また会える日まで、俺はずっと待ってるからな。

瀬尾浩太





便箋を折り、封筒に入れて引き出しの中へしまう。
こんなもの書いたって彼には届かない。分かってはいても、彼を失ったあの夜から毎年書き続けてしまっている。
彼が、玲央が今どこにいるのかも、そもそも生きているのかさえ、俺には確かめる術がない。それでも、きっといつかは届くと信じて、この世のどこかで生きる君へ、来年もまた手紙を書こう。

4/10/2026, 2:41:43 PM

「いや〜今年の満開は早いねえ」

春爛漫、という言葉が相応しい、柔らかな陽光に照らされた満開の桜が美しい日だった。

街の至る所で命を燃やさんとばかりに大きく咲き誇る桜を眺めながら、なんのつもりもなくぶらぶらと他愛もない話をしながら二人歩いていた。踏切に差し掛かって、レバーが下がっていたので立ち止まる。
ふと顔を上げて、踏切の向こうに見えたのは。


ひゅっと瞬間的に喉が息を吸い、全身の血が一気に巡る。ずっと探していた彼の名前を口にする前に、電車が全てを攫うような突風と共に俺たちの目の前を駆け抜ける。


通り過ぎた電車のあと、踏切の向こうに人の姿はなくなっていた。
4年前、同じような春爛漫の日、桜と春一番に攫われた彼を俺はずっと探している。


4/8/2026, 6:14:23 AM

ガタガタと音を立て、到底快適という言葉とは程遠い道路の上を走るバス。一番後ろの、長いシートで二人、肩を寄せ合っていた。
誰がこんなところから乗るのだろう、と言いたくなるような辺鄙な場所で僕らは降車し、去るバスの背を見送る。言葉少なに連れたって歩き、辿り着いたのは海に面した崖の上。まさに断崖絶壁と呼べるであろう崖だった。
バスに乗っている間から繋いだままだった彼の手が、少しだけ震えていることにようやく気がついた。僕も知らぬ間に力が入ってしまっていたのかもしれない。隣で海を見つめる彼の横顔が、夕日に照らされてきらきら輝いている。その様は希望、という言葉を想起させたが、今から僕たちが辿るその言葉に全くそぐわぬ結末を考えると思わず吐き出すような小さな笑いが零れた。

「……本当に、いいの」

彼が手に力を込めて、僕に問いかける。

「もちろん」

きっと君のことだから、やっぱり、とか、今ならまだ、とか考えているんだろうけど、僕の気持ちが変わることはない。
不安そうな顔で僕を見つめる彼に微笑んでみせると、ぎゅっと抱きしめられた。

「…………ありがとう、一緒に来てくれて」
「どういたしまして。こんな最後なら本望だよ」



最後に、僕らは出会った頃みたいな優しいキスをした。
沈む夕日と一緒に落ちていく僕らの体。
きっとまた、来世で。頬を切る風を感じながらそんなことを思った。

4/6/2026, 3:51:43 PM

「ガラス玉みたいだ」

貴方は私の目を見つめてよくそう言っていた。初めて会った神社の境内でも、二人で花火を見た山の上でも、私が短い昼寝から目覚めた瞬間も。

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