「いや〜今年の満開は早いねえ」
春爛漫、という言葉が相応しい、柔らかな陽光に照らされた満開の桜が美しい日だった。
街の至る所で命を燃やさんとばかりに大きく咲き誇る桜を眺めながら、なんのつもりもなくぶらぶらと他愛もない話をしながら二人歩いていた。踏切に差し掛かって、レバーが下がっていたので立ち止まる。
ふと顔を上げて、踏切の向こうに見えたのは。
ひゅっと瞬間的に喉が息を吸い、全身の血が一気に巡る。ずっと探していた彼の名前を口にする前に、電車が全てを攫うような突風と共に俺たちの目の前を駆け抜ける。
通り過ぎた電車のあと、踏切の向こうに人の姿はなくなっていた。
4年前、同じような春爛漫の日、桜と春一番に攫われた彼を俺はずっと探している。
4/10/2026, 2:41:43 PM