NoName

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2/7/2025, 1:23:19 PM

誰も知らない秘密
それを口に出してしまえば秘密じゃなくなってしまう

だから私は黙る
誰にも知られぬ秘密を守るために

その秘密は
何についてかも語るつもりはない

何としても
守っていきたいからだ

誰にでも
知られたくないことはあるものだ

私にも
それがあるだけである

例えどんなに
小さなことだったとしても

私は
それを知られないよう忍ばせ続けねばならない

だから
あなたも秘密を言わなくていい

そして私も
秘密を守るのだ

一つでも二つでも
悟られぬように

誰も知らない秘密を
大事に温め続けるために

2/6/2025, 2:05:04 PM

森の奥の湖畔の夜明けはやけに静かなものであった
親を待ち鳴き続ける雛鳥たちも眠りにつき
湖に鳴く蛙たちも何故か静かであった

太陽が僅かに針葉樹から顔を出した
この木々に囲まれた空間でさえ
その太陽は明らかな姿を現している
この宇宙のなんと広いことか

この静かな夜明けが私に安らぎをくれた
人々の音が聞こえるわけでもなく
街の喧騒が聞こえるわけでもなく
其処にあるのは自然の音
優しい自然の音だけなのだ

そして時々私は森の中を散歩する
行方なんてわからないから
気ままに自由な散歩をする

そこで私は太陽と完全に目を逸らすことができる
木陰によって私の姿は隠される
自然と一つになれるのだ

涼しい空気が肌に触れる
そんな静かな夜明けが私を庇ってくれた

太陽は既にその姿を現していた
こんな静かな夜明けなのに
煩いほどに眩しい
眩暈がするほど眩しいのだ

しかしそれもまた自然の優しさ

静かな夜明けをまた待とう
そして自然にキスをしよう
この静けさを与えてくれた
ありとあらゆる生命のために

2/3/2025, 11:47:33 AM

いいのよ
もっと強く叩いても
いいのよ
未だ足りないもの
あなたの拳が
鞭が
あたしの肌にあたって
清々しい気分よ
だからいいの
いいのよ
もっともっと頂戴
あなたはあたしを怖がっている
でもその必要はないのよ
あたしはそれを欲しているの
だからいいの
いいのよ
もっと強く痛めても
あなたは優しいから
そんな事出来ないかも
でもあたしと一緒にいるって決めたら
それを捨てることも必要なのよ
あたしが欲しいのは
極上の痛み
快楽の痛み
嫌だったら遠慮なく叫ぶわ
「痛いッ!」てね
だから優しくしないで
今だけは
獰猛になるのよ
あたしに頂戴
遠慮なんかない
最上級の痛みを
だから優しくしないで
もう十分だから

2/2/2025, 1:30:49 PM

東京都練馬区の端の方にひっそりとある廃アパートの入り口をくぐると、すぐ左手に階段が見える。(エレベーターもあるが、既に使えなくなっていた。)その階段を三回分登り、奥から二番目の部屋。かつて私と、今は亡き彼女とが暮らしていた部屋である。中は何もなく、あるのは、玄関すぐ左の苔のこびりついた風呂場と、その逆の右側にある便所(これはそこまで古びてなく、いまも使えそうだった)、部屋には擦れた畳が四畳分、そして、押し入れと対称的に置かれた、私達が置いた箪笥が一台。重くて、業者が持っていくのを諦めたのだろう。
台所には、冷蔵庫以外、すべて取っ払われていた。
ここで、彼女の話をさせていただく。彼女は小学生の頃に出会い、それから時を共に過ごしていった。互いに互いを愛し合った。夢なのかも分からぬくらい、私は彼女を愛していた。彼女もきっと、そう思っていた。だが、彼女は突然、私の前から居なくなってしまった。原因は最近分かったのだが、どうやら信号無視の車に轢かれたらしかった。病院に急いできたが、もう遅かった。彼女の心臓はもう機能を喪っていた。深い悲しみと絶望を感じた。彼女の葬式の時も、私は涙を抑えられなかった。その後、私は彼女の父から手紙を受け取った。彼女が亡くなった後に私が引っ越し、そのアパートを出るというタイミングだった。その手紙に、彼女が隠していた手紙の存在がほのめかされていた。そして今、その手紙を探しに、私はここまで戻ってきたのである。
椅子は軋んでいた。私が座れば、すぐに壊れてしまうのではないか。そして私は、先ほど見た箪笥の中を、片っ端から見る。其処に手紙が確かにあった。彼女によって隠された手紙が、確かに残っていた。
前置きとして、「この手紙は、私が死んだ後に読んでください」と書かれていた。あの事故が起きなければ、きっと老いぼれてからこの手紙を読ませるつもりだったのだろう。

貴方は私を愛している
それは私も同じで
私はあなたを愛しているのです
この永く永く続いた愛に
終わりはないのです

あなたがこの隠された手紙を読んだとき
私はきっと現し世に居ません
居ないからと言って
私と貴方の愛は途切れることはありません

これまで沢山の思い出を作って行きました
ヨーロッパ一周の旅に行ったり、
アメリカのラスベガスでカジノを堪能したり
ハンバーグを一緒に作ってくれましたね
美味しかったですね

他にもまだまだたくさんあるけど
長々と書くのは嫌なので
ここまでにします
貴方を愛している
永遠に

彼女はどうやら、自身の老いを見据えて書いているらしかった。ヨーロッパとアメリカの下りは妄想だが、ハンバーグは本当だった。些細な日常が、私たちの何よりの幸せだった。なぜ、これほどのメッセージを隠そうと思ったのか、それはきっと彼女の純粋さ故であろう。
この隠された手紙を読んで、涙が出てきた。大した内容じゃないと思うかもしれない。だが、私の心は惹きつけられた。もう、彼女と会えない。幸せな日常を取り戻せない。
隠された手紙を持って、私はアパートを出た。もう二度と今日のことは忘れないだろう。風が今日も吹いている。その風に乗って、彼女が私の名を呼んだ気がした。

2/2/2025, 9:11:35 AM

ばいばいさよなら
またあいましょう
きみとあえるのか
わからないけど
もうたぶんここに
もどってこないよ
ばいばいしなきゃ
いけないね
とおいほしから
うまれたぼくらは
いますむほしに
わかれをつげる
ばいばいさよなら
またあいましょう
えいえんのいのち
てにしたのだから
たぶんきっと
またあえるだろう
ばいばい

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