NoName

Open App

森の奥の湖畔の夜明けはやけに静かなものであった
親を待ち鳴き続ける雛鳥たちも眠りにつき
湖に鳴く蛙たちも何故か静かであった

太陽が僅かに針葉樹から顔を出した
この木々に囲まれた空間でさえ
その太陽は明らかな姿を現している
この宇宙のなんと広いことか

この静かな夜明けが私に安らぎをくれた
人々の音が聞こえるわけでもなく
街の喧騒が聞こえるわけでもなく
其処にあるのは自然の音
優しい自然の音だけなのだ

そして時々私は森の中を散歩する
行方なんてわからないから
気ままに自由な散歩をする

そこで私は太陽と完全に目を逸らすことができる
木陰によって私の姿は隠される
自然と一つになれるのだ

涼しい空気が肌に触れる
そんな静かな夜明けが私を庇ってくれた

太陽は既にその姿を現していた
こんな静かな夜明けなのに
煩いほどに眩しい
眩暈がするほど眩しいのだ

しかしそれもまた自然の優しさ

静かな夜明けをまた待とう
そして自然にキスをしよう
この静けさを与えてくれた
ありとあらゆる生命のために

2/6/2025, 2:05:04 PM