始まりはいつも君からだった。
どこに行こう? 何をしよう? いつも聞いてきてくれる。
カフェに行こうと言えば直ぐに調べて提案してくれる。
遊園地に行ったら地図を開いて色々道順を決めてくれる。
何をするにも君は僕のことを考えてくれている。
だから始まりはいつも君からだったけど、これだけは僕からがいいんだ。
今日のデートはいい所に行くから、オシャレしてきて欲しいな。
小学生の時家が近くて帰り道も一緒だった、いわゆる幼なじみの男の子がいた。
いつも笑顔の絶えない子で、ロードバイクで公園の坂道を爆走している子だった。
男の子の家には大型犬がいて、その子と遊ぶのが大好きだった。
畳と縁側があって、そこでワンコと幼なじみと昼寝するのも好きだった。
中学生になると学校が違かったので会うことはほぼなく、バレンタインの時1度だけ久しぶりに会った。
身長がとても伸びていてゆうに私を越していて、目が悪くなったのかメガネをしていた。
ドキッとしたが好きと言う感情ではなかった。
そしてまた月日が経ったある日、ふと思い出して幼なじみの家に行ってみようと足を運んだ。
幼なじみの家は無くて、ホテルになっていた。
幼なじみは携帯を持っていない子だったから、電話番号もメールも、LINEも知らない。
あの久しぶりに会った日、携帯を持っていたのを見た時に聞けばよかった。
忘れたくても忘れられない、幼なじみとの記憶。
駅中のエレベーターに乗る時は出来るだけボタンがあるところにいるようにしている。
自分がさっさと降りたいのもあるが、荷物が多い人やベビーカーを押している人が居た時万が一扉が閉まったら......と余計な心配をしてしまうから。
ある時、いつものように入ってすぐボタンのところに立った。
下の階に着き「ドアが開きます」のアナウンスが鳴り、私も開くボタンを押していた。
その時最初に降りたおばあさんがとても鋭い眼差しでこちらを見ながら降りていった。
何かしたかな? と思いつつ皆が降りたのを確認して私も降りた。
視線を前にやると最初に降りたそのおばあさんがまだ立っていて私と目が合うと「さっきはありがとう、助かったわ!」と笑顔でお礼を言って去っていった。
鋭い眼差しは素敵なお礼のためだったのだと分かり、私はとても安堵した。
私は表情筋を動かすのが苦手だった。
嬉しい! と思うけれどそれが表情に出なくて、よく「嬉しいなら嬉しいって表情しなさいよ」「可愛くない」と言われていた。
だから頑張って頬をあげる努力をした。
目を細めて笑顔に見えるようにした。
声が笑ってるようにした。
そうしたら「表情が分かりやすい」と言われるようになった。
努力の賜物だ。
子供のように、でも大人の笑顔で今日も頑張る。
笑ってると分かるように。
学校終わり、放課後に何をするのが好きだった?
私は友達とのんびり話したりするのが好きだった。
沢山話して、お腹がすいたらお菓子を食べる。
それでもお腹が空いたらご飯屋さんに行くのも好きだった。
特にうどん屋さんによく行っていた。
そこの半熟玉子天がとても美味しくて、絶対に頼んでいた。
今も年に一度くらいだが足を運んでいる。
何度食べても、やっぱり美味しい。
私の放課後の思い出。