「3本の花か、ちゃんとした花束か、どっちが欲しい?」
そう聞くと君は
「んーどちらも素敵だと思うけど、3本の方かな」と言った。
僕は驚いて
「本当に? ちゃんとした花束の方が綺麗だよ?」
と言ったが君は3本の方! と譲らなかった。
仕方なく3本の方を渡す。
「薔薇が3本......素敵じゃない」
そう言うとスカートをふわっと浮かせ笑顔を見せてくれた。
「本当はこっちの花束の方がこだわったから渡したかったのに......」
そっと渡さかなかった方の花束を見せる。
「カスミソウ、クチナシ、アングレカム......、こっちの花束もとっても素敵! 」
「でも、そうなると薔薇の方はエイプリルフールってこと?」
君は少し悲しそうな顔をした。
「違うよ! どちらも僕の本心なんだけど......上手く言えなくて、エイプリルフールだからって君を悲しませる嘘はつかないよ! 」
僕がわたわたしていると君はとても笑顔で
「分かってるよ、でも私はそうじゃないかもよ?」
と小悪魔的に笑った。
そんな君の顔も僕は大好きだと再認識してしまった。
エイプリルフール
「返事はいらない、言いたかっただけだから」
じゃあ......そう言って貴女は僕の返事を聞かず走り去ってしまった。
次の日学校に行くと貴女は友達と楽しそうに話していた。
僕と目が合ったのにスッとそらされてしまう。
話しかけようとしても忍者の如く消えてしまう。
放課後になり下駄箱で待ち伏せしてやっと捕まえた。
「昨日さ、僕返事してないんだけど......」
「昨日のね! 迷惑だったよね、ごめん」
笑顔で何気ないふりをしながら言っているのがわかってしまう。
僕は言葉を続ける。
「まずね、僕は貴女を好きか分からない」
貴女は口をキュッとすぼめた。
「でも、いつも困ってる人助けたり笑顔が素敵だなと思ってた」
え? とこちらを向いてくれて、今日やっとちゃんと目が合った。
「これからもっと知ってみたい、何気ないことでも話せる間柄になりたいです」
「付き合ってくだ」
言い終わる前に貴女は僕を泣きながら抱きしめてくれた。
返事が欲しいですと言うと「おねがいします! 」とそれはそれは大きな返事をもらえた。
何気ないふり
夜中に何をするでもなく起きていて、時計を見て絶望するなんて何回目か。
ゴロゴロしながら携帯を弄り、スクロールする。
早く寝ればいいのに、明日絶対後悔するのに眠らないこの精神はなんなのか。
そんな中鳥が鳴くのが聞こえて、少しだけ外を見る。
オレンジ色と紫色が混じりながら光を帯びて鳥を照らしている。
とても綺麗だった。
しかし少しの後悔が心をぎゅっとする。
いそいそと布団に戻り目を瞑る。
先程の色味がまぶたの裏に流れてくる。
ハッピーエンド
大人になると長期の休みなんてなかなか無くて嫌になる。
学生の頃は夏休みが一番楽しみだった記憶。
カレンダーであと何日で夏休みか、八月になったら何をするかうかうきで沢山考えていた。
でもちょっとばかり悲しいこともある。
君に会えないことだ。
友達だけど個人で遊ぶほどの友達ではないし、約束なんか一つもしていない。
文化部の自分と運動部の君。
同じ場所にいるのに、一目見ることすらできない。
授業があればまだ会えるのに。
それでも下校時間が合った時は下駄箱で会えるのが嬉しくて、少しゆっくり靴をはきかえる。
今年も来年と同じように、下駄箱で会えますように。
8月、君に会いたい
もしも過去へと行けるなら、私は何がしたいだろう?
色々やりたいことはある。
学生時代に戻って無双したり、高額が出た宝くじ売り場で爆買いしたり……。
でも、一番はもう声が聞けない人に逢いたい。
もう一度、しっかり話したい。
「ありがとう」「大好き」ちゃんと伝えたい。
手紙ではなく、言葉で伝えたい。
何度願っても何度祈っても、不可能だけど、それでも、もう一度逢って話したい。
視界を歪ませる事を許して欲しい。
もしも過去へと行けるなら、もう一度、君に逢いたい。
もしも過去へと行けるなら