大人になると長期の休みなんてなかなか無くて嫌になる。
学生の頃は夏休みが一番楽しみだった記憶。
カレンダーであと何日で夏休みか、八月になったら何をするかうかうきで沢山考えていた。
でもちょっとばかり悲しいこともある。
君に会えないことだ。
友達だけど個人で遊ぶほどの友達ではないし、約束なんか一つもしていない。
文化部の自分と運動部の君。
同じ場所にいるのに、一目見ることすらできない。
授業があればまだ会えるのに。
それでも下校時間が合った時は下駄箱で会えるのが嬉しくて、少しゆっくり靴をはきかえる。
今年も来年と同じように、下駄箱で会えますように。
8月、君に会いたい
もしも過去へと行けるなら、私は何がしたいだろう?
色々やりたいことはある。
学生時代に戻って無双したり、高額が出た宝くじ売り場で爆買いしたり……。
でも、一番はもう声が聞けない人に逢いたい。
もう一度、しっかり話したい。
「ありがとう」「大好き」ちゃんと伝えたい。
手紙ではなく、言葉で伝えたい。
何度願っても何度祈っても、不可能だけど、それでも、もう一度逢って話したい。
視界を歪ませる事を許して欲しい。
もしも過去へと行けるなら、もう一度、君に逢いたい。
もしも過去へと行けるなら
夏は嫌いだ
暑いし、汗をかくし、じめじめするし、蝉の鳴く音がより一層暑さを感じさせてくる
少しでも日陰を欲して建物の影を影踏みしているかのように歩く
道行く人も同じことを考えているから、たまにぶつかりそうになりながらも両者譲らない日陰合戦がおこる
日傘を忘れてしまった時は尚日陰を探す
少しでも涼しい所へ、眩しくない場所へ
すると揺れる木影を見つけそこに避難する
暑さは全然変わらないが、体感的に涼しくなったように感じる不思議
夏だからこその木影のハッキリさと綺麗な緑色の葉っぱ
そこだけは夏が好きだと言える
揺れる木影
夜更かしをしているとふと外を見たくなる時がある。
ベランダに出て空を見て、遠くの建物を見る。
まだ夜だと少し風が冷たくて気分があがる。
視線を落とすとアイスを食べている人影。
せっかく起きているのだから、と夏に合わせて出しておいた下駄を履く。
カランコロン鳴るのを少し抑えてコンビニへ。
夏が来たぞ! といわせるスイカのアイスをひとつ買って来た道を戻る。
夏なのにまだ涼しい風、カランコロン鳴る足元、手元にはアイス。
少し立ち止まって、このまま始発を待って遠くへ行きたいと思いつつ、そんなことは出来ない自分に笑いながらまたカランコロンと鳴らす。
家に着いたらまた空を見上げながらアイスを食べる。
遠くへ行きたい
君と僕はもうかれこれ10年くらいの仲になるけど、お互い実は重要なことは知らないよね。
見た目や職場とかなにも知らない。
多分聞いたら教えてくれるだろうけれど、こちらも聞かない。
そんな君と僕だけど、お互い話したい時にLINEしたらすぐ返事がくる。
それが半年後とかでも、つい昨日まで話していた延長戦のように話せる。
そんな気心しれた君のことが大好きだ。
大好きだったが正確かな。
君にとっては大きな分岐点に入って、僕はいままでのように気軽にはLINE出来なくなった。
というよりしなくなった。
悲しいけれど、嬉しい。
嬉しいけれど、悲しい。
ふとした時にLINEしたくなるのは君なのに、出来ない。
年月が経てばそういう事があるのは分かっていたのにね。
それでもお互いの誕生日や年始にはLINEを送り合う。
それが今できるお互いの友情。