『たとえ間違いだったとしても』
私の選択が
彼の選択が
たとえ、間違いだったとしても
私たち──いえ、私は、何度でも同じ過ちを繰り返すでしょう。
あなたに抱かれた夢を知らないまま歌を歌い
偽物のエンドロールが流れる。
その先がたとえ火の海だとしても、たとえ地獄だとしても、私はその手を離さない。
『もしも未来を見れるなら』
地球最後の日まで、花のように咲う彼女は歌を唄い水溜まりの上でバレエシューズの音を響かせる。
白鳥のように美しく、しなやかで、彼女の手はいつも氷のように冷たい。
隣で笑っているのは私ではなくて──
放課後の踊り場
その時間だけは私と彼女だけとの世界
夕焼けが踊り場を暖かく照らし
バイオリンの音が響く校舎に彼女のステップが響く。
そっと弦から弓を離せば彼女と目が合い、彼女はにへらと笑った。
この時を永遠という名に閉じ込めてしまいたかった。
この時間だけは私は素直になれた。
ボロボロになったスカートに、薄汚れた鞄
ケースにバイオリンを仕舞い、彼女は軽くストレッチをしていた。
“帰ろう”
彼女の差し出した手は私よりも小さくて、細くて──
この時間だけは、まだ、私の隣にいる。
私は彼女の手をじっと見つめた。
彼女は不思議そうに首を傾げ、私の手をそっと握った。
私は、ほんの少しだけ、握り返した。
『無色の世界』
盲目な少年はいつも縦笛を吹いていた。
静かな畔に響く彼の音色は、楽しそうに、イキイキとしているその音はみんな大好きだった。
だが、あまりそれをよく思わなかった人が現れた。
彼は少年の縦笛を奪い、谷底へ落とした。
少年は悲しみのあまり、夜が明けるまで泣いていた。
悲しみの夜に暮れていると、ふと、暖かな陽の光が少年を照らした。
柔らかな風に、包み込むような仄かな光は少年の心を満たした。
そして、ふと、横に何か置かれているのに気がついた。
手に取りそれが笛であることがすぐに分かった。
少年は優しくそれを撫で、沈みゆく月にセレナーデを送った。
『桜散る』
川の流れる音にそっと耳をすませば、少し遠くの公園から子どもの笑い声が聞こえてきた。
素足になり川に足を入れれば、少しひんやりとした水が心地よかった。
ふと見上げれば、散り残った桜がやわらかな緑に溶け込んでいた。
ヒラヒラと舞い散る桜の花びらを思わず掴んだが、息を吹きかけた途端あっけなく手を離れていった。
川へ落ちたそれは、もう二度と戻ってこないように、ゆっくりと流れていき、とうとう見えなくなった。
綺麗だと思ったときには、もう届かなかった。
『桜散る』
川の流れる音にそっと耳をすませば、少し遠くの公園から子どもの笑い声が聞こえてきた。
素足になり川に足を入れれば、少しひんやりとした水が心地よかった。
ふと見上げれば、散り残った桜がやわらかな緑に溶け込んでいた。
ヒラヒラと舞い散る桜の花びらを思わず掴んだが、息を吹きかけた途端あっけなく手を離れていった。
川へ落ちたそれは、もう二度と戻ってこないように、ゆっくりと流れていき、とうとう見えなくなった。
綺麗だと思ったときには、もう手の届かない場所にあった。