『もしも未来を見れるなら』
地球最後の日まで、花のように咲う彼女は歌を唄い水溜まりの上でバレエシューズの音を響かせる。
白鳥のように美しく、しなやかで、彼女の手はいつも氷のように冷たい。
隣で笑っているのは私ではなくて──
放課後の踊り場
その時間だけは私と彼女だけとの世界
夕焼けが踊り場を暖かく照らし
バイオリンの音が響く校舎に彼女のステップが響く。
そっと弦から弓を離せば彼女と目が合い、彼女はにへらと笑った。
この時を永遠という名に閉じ込めてしまいたかった。
この時間だけは私は素直になれた。
ボロボロになったスカートに、薄汚れた鞄
ケースにバイオリンを仕舞い、彼女は軽くストレッチをしていた。
“帰ろう”
彼女の差し出した手は私よりも小さくて、細くて──
この時間だけは、まだ、私の隣にいる。
私は彼女の手をじっと見つめた。
彼女は不思議そうに首を傾げ、私の手をそっと握った。
私は、ほんの少しだけ、握り返した。
4/20/2026, 8:55:12 AM